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ページ更新日: 2023-1-31
逆算で経営改善を実現する中期経営計画の作り方
中期経営計画は企業としての現在地から将来の成長を示す、重要な提示資料です。長期的に構築する会社として向かうべきビジョンやミッションへのステップ役としての存在意義があります。
逆算で経営改善を実現する中期経営計画の作り方
中期経営計画書の作り方を考える前に、まずはメリットを理解し、どのような内容なのかを把握してからの作成をお勧めします。

作る前に知っておきたい「中期経営計画のメリット」とは?

中期経営計画を作るメリットは主に3つあります。具体的には以下の通りです。

【1】目標や経営課題がはっきりする

目標や経営課題がはっきりする
中期経営計画は作成する過程で、目標を設定し、現在の課題を明確化して、その解決策を提示していきます。
 
経営課題を解決するために設定した目標到達に向けて、現場で取るべき必要な数値や行動を目に見える形で作成する必要があります。経営者がぼんやりと頭に描いているイメージだけで中期経営計画を作ることはできません。データにもとづき組み立てた経営戦略を作ることを意識しましょう。

また、金融機関やステークホルダーの外部関係者、もしくは社内の役員や従業員を説得する際にも、中期経営計画は効果的です。
詳細な資料に基づいた具体的な中期経営計画であれば、現場で実践するだけで会社の成長可能性が高まります。

【2】従業員のモチベーションがアップする

従業員のモチベーションがアップする
中期経営計画を作成し、目標や抱えている課題が明確になれば従業員も安心して業務に取り組めます。
 
管理職は計画に基づき営業・開発などといった部署ごとに到達すべき目標を定め、マネジメントしていきます。多くの企業にとって中期経営計画は5年前後の目標期間と定められ、それを解説して年度、または四半期や月次の目標が定められていきます。

数字だけではなく、どうやってお客様の満足度を高めていくかのホスピタリティ視点の取り組みも重要です。会社紹介の記事など広報的なメリットも期待できるでしょう。

日々の業務に追われている従業員も、先行きの見通せない会社に勤めているのは不安を感じるものです。そうした不安を解消して、業務に集中してもらうためにも中期経営計画の策定は重要だといえます。

特に資金面で余力の少ない中小企業で働く従業員ほど、会社内部がどこに向かっているかを共有して貰うことで安心感が増して、それぞれのモチベーションがアップする効果が期待できます。

【3】取引先や顧客から信頼されやすくなる

取引先や顧客から信頼されやすくなる
中期的な経営課題や目標を公表すると、外部の関係者であるステークホルダーからの信頼が高まるケースも多いです。
 
なぜ信頼感が高まるかというと、将来的な計画が目に見えるようになっているので、短期的に見て赤字が出ていても問題ない判断ができるようになるからです。そのため短期的な視点ではなかなか加えにくい新規の事業計画なども加えることができるでしょう。
 
中期の計画書が支持を受けることで、短期的な損益に囚われない、マーケティングに重きを置いたswot分析の実行やpdcaの推進にも積極的に取り組むことができるようになります。

一方で中期経営計画がないと、一時的な赤字であっても先行きが不透明に感じてしまうため、現在の財務状況のみの判断となり金融機関からの融資が受けられないケースがあります。しかし、質の高い中期経営計画を作成しておけば一時的な赤字と証明できるため、金融機関の安心感につながります。
 
取引先や顧客においても同様で、企業としての信頼感を高めるのに役立ちます。

メリットをもたらす計画の中身とは?

中期経営計画では、「現状」を明確にして、目標となる「あるべき姿」設定し、その差である「課題」をどうやって解決していくかを考えていきます。
「課題」は「現状」と「あるべき姿」の差
計画を作成するには、特に現在の詳しい把握が大切です。中期経営計画は正しい資料と根拠にもとづいて作成する必要があります。間違った資料を基に作成してしまっては、将来的に大きな誤差となって経営が苦しくなってしまう恐れがあります。

特に2021年から2022年にかけては、新型コロナの影響で日本内外におけるビジネスシーンは多大な影響を受けました。現在の状況を反映し、自社にとってプラスとなるべき点、マイナスとなるべき点を可視化することも重要です。回復途中の海外向けビジネスは、更に意識するようにしましょう。
 
計画の中身については、あらかじめ目標がきちんと定まっていて、課題を把握できていれば迷いなく作成できます。また、計画の内容が具体的であれば実践する際に、もし計画からズレが発生した後からも軌道修正しやすいでしょう。
倒産企業の経営者に多い特徴
目標が明確に定まっておらず、現状の課題を把握できていない場合は滞りない計画の作成は難しいです。その場合は、まずは目標設定や現状の課題などの把握から始めなければいけません。
 
目標設定や現状の課題などを把握する作業は、本来は経営者であれば常に意識しておかなければいけない事項です。倒産した会社の経営者の特徴で特に多いのが、計画性がない・課題を認識できていない点です。

計画性がない

計画性がないと「いつまでに何をすべきか」という目標設定ができず、社員は効率よい業務が行えません。
 
また、従業員同士で共通する目標がないと、チームワークが欠けてしまい、実行ありきの個人プレーに走りがちです。すると、会社全体の生産性という点で悪い影響が出てしまうでしょう。全社規模でのマネジメントも機能しづらくなります。

課題を認識できていない

課題を認識できていないのは、自信過剰タイプの経営者に多い欠点です。経営が順調にいっているときは、このまま利益が上がっていくのではないかと考えますが、実際にはいつまでも好景気が続くことはありません。同様に現在シェアが取れていても、競合他社により新たに発売された魅力的な商品と比較された結果、大きくシェアを落としてしまうことも想定されます。
 
現状に課題がないとしても、未来を予測して将来的な不安要素を考えながら経営していく慎重さが経営者にとって重要です。いずれにしても、中期経営計画を作成するためには、目標や課題について真剣に考えなければいけません。考える過程においても経営改善に対する良い機会になり、相乗効果が期待できます。
いずれにしても、中期経営計画を作成するためには、目標や課題について真剣に考えなければいけません。考える過程においても経営改善に対する効果が期待できます。

中期経営計画書の作り方

それでは、中期経営計画の作り方を紹介します。STEPに沿って作成してみましょう。
中期経営計画書作成の流れ

【STEP1】現状を把握する

現状を把握する
まずは自社の現状把握から始めます。現状をしっかり把握しないと、どこに問題があるか、何を改善すればよいかがわかりません。
 
注意するポイントとしては、できるだけ客観的な資料を基に課題などを分析することです。

「なんとなく従業員が足りない」「新商品の売上が伸びていない気がする」などの主観が入ってしまっては、正しい中期経営計画書は作成できません。決算書などから実際の売り上げや販売にかかっている経費などを調べて、客観的な分析が重要です。
 
詳しく分析することで今まで見えていなかった課題だけでなく、自社の強みやこれから対応すべき弱みも分かってくるかもしれません。

【STEP2】目標を設定する

目標を設定する
次に、目標(あるべき姿)を設定します。目標は「3年後、5年後に会社はどうあるべきか」を考えます。
 
目標を先に設定し、そこから逆算して中期経営計画書を作成すると具体的かつ効率よくできます。目標を最後に設定しようとすると、なかなか理想的な目標にならないことが多く、途中の計画を見直ししなくてはいけないケースが出てくるので、気を付けましょう。
 
目標設定をするときに、重要視しておきたいのが「経営理念」です。経営理念は会社の根幹にかかわってくる考え方であり、目的となるものなので、それに逸脱しないような目標設定が望ましいといえます。

会社は利益を出す以外にも、企業活動を行ううえで社会貢献をするという大きな使命と実行するための力を背負っています。売上だけでなく、「お客さまを笑顔にする」などの企業としてあり方を明確化しておくことで、従業員へ経営理念が浸透しやすくなるメリットが期待できます。

【STEP3】課題を抽出する

課題を抽出する
現状とあるべき姿をもとに課題を抽出します。この差を埋めることが自己革新につながり、外部環境の変化に翻弄されない企業体質を作ります。
 
課題解決の戦略を考えるときのポイントは外部環境を考慮することと、どうやったら自社の強みを活かせるかを重点的に考える2点です。どれだけ自社の商品に自信があっても、競合他社で対策を組まれ、同じような商品を安価に提供されると苦戦してしまうでしょう。

中期計画を立てる際には、自社の状況だけでなく市場の成長性や顧客のニーズの変化なども織り込んでおくとよいです。
 
また、中期計画ではトレンドを深追いする発想は極力避けたほうが無難です。トレンドは一時的なブームで終わることも多く、経営理念に反するような事業に手を出すと結果的に長続きせずに赤字に陥ってしまうことがあります。
 
一時的な利益を目指すのではなく、これまで培ってきた事業の強みを活かした目標達成のための戦略を考えるとよいでしょう。

【STEP4】数値目標設定と行動計画を作成する

数値目標設定と行動計画を作成する
中期経営計画書を作成する最後の工程は具体的な経営方針を設定して、達成するための行動計画の作成です。
 
外部環境や自社の強みを考慮しながら考えた戦略の骨格に、具体的な数値目標を肉付けしていきましょう。なお、行動計画を設定するときは、逆算して展開を考えていく方法が効果的です。
 
例として、「1000万円の売上を達成するための手法として人員を10人確保する」という具合です。目標から逆算しないと、「人員を10人確保するから1000万円ほど売上をアップしろ」などの根拠のない命令になってしまいます。
 
従業員がスムーズに業務に取り組めるように、根拠を明示しながら行動計画を作成するように心がけましょう。

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まとめとして言えることは、中期経営計画書の作成と実践によって、目標や課題が明確となって経営改善の効果が期待できます。
 
また、従業員のモチベーションアップや自社の社会的な信用度が向上し、さらに仕事をしやすい環境が整っていくでしょう。中期経営計画にもとづいた経営が実現できれば、採用力の向上にもつながります。

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