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考える言葉

 

シンクロ

 
2003年07月21日(月)

 バルセロナで開催されている世界水泳選手権のシンクロ競技で、日本はデュエット・チームともにロシアに及ばず、銀メダルに終わった。
 テクニカルと芸術で獲得点数を競うようであるが、同調性のアピールが最大のテーマであろう。今回は、ロシアの力強いアピールに分があったのであろうが、日本のシンクロには日本のきめ細かい文化を感じることができ、感動的だったと思う。世界が、日本チームのきめ細かい同調性を理解するには、もう少し時間がかかるのかも知れない。
 シンクロ競技の難しさは、選手一人ひとりの卓抜性とチームとしての均一性をどのようにバランスをとるかであろう。卓抜した才能をもっている人間がいたとしても、他の同調性を得ることができないとしたら、それはチーム力にはならないのである。それどころか、チームとしての均一性を損なってしまう結果となるであろう。
 しかし、卓抜した人間が存在しないと、どんぐりの背比べみたいな魅力のない集団と化してしまうのは必然である。
 「ロシアとの差はない。あとは、立花・武田にチームのレベルがどれだけ近づくかである」と述べた井村コーチの言葉が印象的だった。そのためには、並々ならぬ努力が必要であろう。その一人ひとりのモチベーションを支えるのは、「世界一になりたい!」という一人ひとりの“想い”の同調性(シンクロ)であろう。
 企業という組織においても、これからは同じようなことが期待されるのではないだろうか。情報化された知識社会で組織が生き延びていくには、変化への対応とそのスピードが要求される。そのためには、ピラミッド型組織をフラット型あるいはネットワーク型組織へ変革していく必要がでてくる。
 各部署での臨機応変な対応、それにシンクロするような他部署の動き。このようなことが、あらゆる場面で起こりうる時代である。もう、自己完結型の個人プレーでは社会のニーズには応え切れないような複雑化した、競争社会の中に、今やある。
 これからの組織は、その構成要素である部分(各部署・個人など)のシンクロナイズ化した進化が求められよう。
 恐ろしいのは、ネットワーク型社会は、レベルに応じたシンクロ化が進むであろう。つまり、高いレベルは高いレベルで、低いレベルは低いレベルで同調し合うことになると考えられる。
 トップの目的意識や価値観の内容が、組織のシンクロのレベルを決してしまうであろう。あなたは、どのレベルでシンクロしていますか?