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考える言葉

 

組織論

 
2004年04月05日(月)

 組織論というテーマが頭に浮かび、経営組織論が好きで読みあさった学生の頃を思い出している。
 月並みであるが、組織論の歴史的な展開には、伝統的組織論~人間関係論~近代組織論という流れがあった。それは、組織を仕事の側面(機能・職能)から構造的に捉えていたものを、組織で働く人間の側面(感情、動機付け、欲求、意思決定する主体)から捉えなおすという“人間観”の進化の歴史だったと考える。
 「自分は、このまま社会に出て、組織の一歯車となって一生を過ごすのか!?」という獏とした不安をもっていた私にとって、バーナード・サイモンの“行動の科学”と称された一連の研究である近代組織論は、斬新で、感動的で、勇気付けられたことを、今でも覚えている。
 しかし、今思うと、近代とか科学という表現がなされているように要素還元的で、人間の心理を分析する手法に過ぎなかったではないか。もちろん、人間観を高めたという効果は十分にあったのだが・・・・・。
 今、私たちが複雑系、有機的あるいはシステム思考という言葉で捉えようとしている組織論は、まさにパラダイムシフトである。それは、単なる人間観を超えた“宇宙観的な思考”であり、“存在そのもの”の意味と価値を問うことから始めようとしている。
 「組織は何故、存在しうるのか?そして、それは人間を含めた環境と、どのような関係性において成り立つのか?」と問うところから、組織の意味と価値を論じようとしている。
 私たちは今、パラダイムシフトの時代に生きている。大きな“ゆらぎ”の中にいる。変化が常態のこの世の中、“ゆらぎ”は必然である。そのような状況下において、私たちは、何を“触媒”として“自己組織化”されていくのか。
 今、組織において“理念や目的”論が重要視され、“リーダーシップ論”が脚光を浴び、自己実現に向けて主体的であるという人間観を前提とした“目標管理”が新たにシステム思考の観点から見直されようとしていることも、決して偶然なことではない。
 P・F・ドラッカーは、「知識社会は、必然的に組織社会に為らざるをえない」と洞察しているが、私たちは、私たちの人生に大きな影響を及ぼすであろう、その“組織”について、「組織とは何か?」を問い直す必要があるといえよう。
 私が概念化したいと考えている“組織”は、有機的あるいはシステム思考によって思考された、そのものである。それは、“組織(全体)と個人(部分)”を、その成り立ちの原理において統合されうる、そのものである。