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“考える言葉”シリーズ

 

CSR

 
2019年07月16日(火)

 書棚の整理をしていると、ずいぶん以前に読んだ、『CSR企業価値をどう高めるか』(日経新聞社)という本が目に止まった。
 
 “CSR(Corporate Social Responsibility)”とは、一般に“企業の社会的責任”と訳されているが、「責任」をここでは「存在意義と価値」という風に捉え、考えてみたい。
 
 ピーター・F・ドラッカーは、「組織の社会的責任」について次のように述べている。
 
 「社会的責任の問題は、企業、病院、大学にとって、二つの領域で生ずる。(1)第一に、自らの活動が社会に与えるインパクトから生ずる。(2)第二に、自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生じる。いずれの組織も社会やコミュニティの中の存在であるがゆえに、マネジメントにとって重大な関心事たらざるをえない」(『マネジメント(上)課題、責任、実践』 ドラッカー著)
 
 つまり、企業を含めたあらゆる組織のマネジメントは、自らの活動による社会に対して与えるインパクトについての責任を持つ。同時に、自らが原因ではない社会自体の問題の発生においても、その解決に貢献することを期待されているという。
 
 日本ではかつて、60年代の公害問題、70年代のオイルショックに伴う便乗値上げ、80年代の地価高騰、90年代のバブル崩壊と金融危機、そして食品偽造事件等・・・、企業の不祥事問題に対する社会的責任という形で取り沙汰されたことがあった。
しかし、ここで言う“CSR”は、企業の本質である社会的存在性から考えたい。
 企業を含めたあらゆる組織は、社会に貢献するために存在し、そして社会の中に存在する。つまり、それらは社会環境の中においてのみ存在する、社会の機関であるということだ。
 したがって、社会自体の問題の影響を受けざるを得ない。健全な組織は、不健全な社会では機能し得ないのである。ゆえに、社会の健康はマネジメントにとって不可欠な条件である。
 
 ドラッカー曰く、「自らが社会に与えるインパクトについては責任がある。これが第一の原則である」。そのうえで、「社会に存在する諸々の問題に対しては、企業のマネジメントにとっては挑戦である。機会の源泉である」という。
 
 パラダイムシフトが起きている21世紀における“CSR”の課題は、この点にあるのではないだろうか・・・。環境の激変によって生ずる諸々の社会問題を事業機会として捉え、その解決のためにリスクを負う。
 
 社会的イノベーションこそが、まさに21世紀の“CSR”ではないだろうか。
 
”考える言葉”シリーズ(19‐25)
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