本文へ移動

考える言葉

 

メガマージャー(大合併)

 
1999年08月23日(月)

「一勧・富士・興銀、統合へ」(朝日新聞8月20日付)…。

何が起こっても不思議ではない、大変な時代であるが、驚きを禁じえない出来事である。今、盛んに行われている巨大化による生き残り戦略であるが、凄まじいとしか言いようがない。仮に組織は生き残ったとしても、巨大化のメリットは“徹底した経費削減よる効率化”、この後に控えているのは徹底したリストラである。組織内部の弱者は、容赦なく切り捨てられることを覚悟せねばなるまい。

 この業界におけるビッグバン後の戦略がはっきり見えてきた。徹底したグローバル戦略を取るか徹底したローカル戦略を取るかいずれかであろう。このいずれかの戦略に絞込みを行い、徹底した自己革新を行っている銀行であるかどうかを見極めておかないと心配である。過去を引きずった、中途半端な変革しか出来ないような銀行は到底生き残れないし、危ないのである。2001年3月には、預金の全額保護がなくなる「ペイオフ」解禁となる。いよいよもって、自己責任の時代である。

 私たち中小企業の経営者にとっては、事業資金調達において銀行との関わり方は大変重要な問題である。私は、中小企業は“真のローカル戦略”に徹した変革を成し遂げた銀行をパートナーとして選ぶべきだと考える。

 ここに言う“ローカル戦略”とは、地域密着型で、個々の顧客の立場に立って考える戦略である。顧客と共に満足を分かち合い、共に成長を考え合える関係性を重視した、言わば、企業と顧客が価値観を共有し合える戦略である。

 そして、この“ローカル戦略”こそが、私たち中小企業が大競争時代の中で生き残って行く為にとるべき戦略の方向性だと考えるのである。そのために、私たち経営者が為すべき大事は、一つ「経営理念の確立」である。その地域との関わりにおいて、自社独自の存在の価値と意義を明確にすべきである。

 二つは「人材の育成」である。理念実現に熱意を抱き、個々の顧客に愛情を持って接し、自分の仕事を喜びと感じることができるような人材である。

 顧客が企業を選ぶ時代である。同時に、企業も真の顧客を選ぶ時代でもある。だからこそ、大切なのは“選択の基準”(理念)をお互いに共有し合えているかどうかであろう。

 これからの時代、メガマージャー的なグローバル戦略も注目しておくべきであるが、“ローカル戦略”の確立こそ、中小企業にとって急務である。また、そんな銀行が早く生まれてくることを、合わせて期待して止まない。

 これからの企業は、顧客そのものも大切な経営資源の一部として組織の中に取り込んで、時代が求めている環境を創造して行けるような、主体的価値を発揮していくことが求められよう。

 要するに、自分を見失わないこと。そのためには、常に現在地を見定め、目的を見失わないように生きることである。