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考える言葉

 

アイデンティティ(identity)

 
2000年06月19日(月)

社会を支えてきた全体の秩序が崩れ、否応なく、個が自立し、強くならざるを得ない。いわゆる“個の時代”が叫ばれる所以である。
しかし、私たちの多くは、自分の未来に対して漠然とした不安を抱いており、自分の明るい未来を描き切れないでいる。
中高生といった若い世代に蔓延しつつある表層的で、刹那的な思考。一見、自己主張をしているようで自己認識ができていない。自分が目立つのであれば、手っ取り早くアンチ・ヒーローでもよいのだろう。悲しいことに、憂鬱な事件が多い。
今、私たちに大切なことは、自分の“アイデンティティ”をいかに確立させるかであろう。
自分の中にいる“様々な自分”をいかに統合し、「自分が何であるか、何のために生きているのか」を明確に知ることである。自分の存在価値を確立させ、自分の“ID”をはっきりと主張できなければならないと思う。
以前、企業においてCI(Corporate Identity)がブームになった時期があったが、ロゴ・マークを作るなど、うわべの活動に終わってしまったような気がする。
企業の独自性、個性的な社風をどのように確立させるかは、これからの時代において、企業が生き延びていくためには大変重要な経営課題の一つである。
独自の経営観を確立すること、「何のために我社は存在しているのか、その目的と理念は」しっかりと自分の頭で考えるべきである。
グローバル化、IT革命など、私たちを取り巻く環境の変化には凄まじいものがある。この変化に適応するには、自分の、企業のアイデンティティをしっかりと確立することである。
何故ならば、自分のアイデンティティを確立できない人は、自分を取り巻く環境とのアイデンティティを見出すことができないからである。
今、時代の大きな変化の中で、私たちが得体の知れない不安に陥り、自らの未来を描き切れず、右往左往しているのは、大方こんな所に原因があるのではないかと思う。
つねに“自分探しの旅”を怠ってはならない。そのためにも、自分の価値観(物差し)を磨き続けたいと考える。