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考える言葉

 

未来のイメージ

 
2002年04月22日(月)

少しの間、目をつぶって自分の会社の未来をイメージしてみよう。
さて、どうだろう・・・?あなたの頭の中に浮かんだ5年後あるいは10年後の会社のイメージは、あなたにとって「明るい」、それとも「暗い」のどちらのイメージだったろうか。
 恐らく、多くの経営者は後者、つまり「暗い」というイメージを持たざるを得なかったのではなかろうか。中小企業の7~8割が赤字企業だという。銀行の態度は手の平を返したように冷たく、厳しい。いろいろと考えてみるが、明るい材料が浮かんでこない。
 日本列島をすっぽりと覆ったデフレ雲が、未来への見通しをさらに悪くしている。デフレが進行しているときに、借金を抱えての経営の舵取りは、小回りがきかないのでなかなか難しい。
 では、「明るい」とイメージした人は一人もいないのかといえば、決してそんなことはない。あなたにとっては厳しい環境にしか映らないかも知れないが、やっぱりいるのである。「明るい」とイメージしている人が・・・・・。いつの時代もチャレンジ精神を持って生きている人は、変化に敏感な人である。いや、変化を自ら起こしている人だといえよう。つまり、先が見えている人なのである。
 先の見通しが立っている人は、自分の未来を「明るく」感じているだろうし、そうでない人は「暗い」のである。
 今、企業にとって最も恐ろしいことは、トップあるいは幹部が自らとるべき進路の方向性を見定めることができないでいることである。しかも、何を信じて決断すれば良いのかが全く分からなくなっている。
 それにも拘らず、他人の忠告には素直に耳を傾けることができない。もはや、過去の成功体験が通用しないことは百も承知だが、捨てきれないのである。変化の時代に惰性に流されていて、先の見通しを立てられるはずがない。
 少し考えてみよう。どうしようもないときだからこそ、むしろできることだって必ずあるはずである。発想を転換して、例えば、思い切って土台を壊してみることである。上手くいっているときに土台をチェックするなんてことはやらないだろう。
 ここでいう土台とは、自分の考え方の根本にある“価値観”である。自分(企業・生産者)の都合を優先する前に、相手(顧客・生活者)の困り事を常に優先する考え方などは、やはりその人の持つ価値観から生れるものでないと、本物ではない。
 敢えて、亀の歩みでも良いと思う。自分の存在の価値を根本から見直し、常に「何のために」(目的)を問い、段取りをしっかり考えながら、着実に“未来”を築いていくことに力を注ぐことは、今だからこそ優先すべき大切なことではないだろうか。