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考える言葉

 

カルロス・ゴーン

 
2002年06月03日(月)

いよいよサッカーW杯が開幕した。日本は一次リーグを見事に突破してくれるだろうか。サッカー・ファンならずとも、熱戦にドキドキ、ワクワクの日々になりそうだ。
 トルシェ監督の人選や選手起用法など、ワンマンぶりに不満の声も聞こえてくるが、日本は地の利もあることだし、何とか結果を出して欲しいと思う。
 同じフランスからきて、日産自動車の再生に腕を振るい、日本でも一躍有名人になったカルロス・ゴーン氏は、TVのインタビューに応えて、「日本は必ず一次リーグは突破するだろうし、決勝トーナメントでもかなりの戦いをするだろう。これは社交辞令ではない」、そしてトルシェ監督の采配ぶりについては、「監督は全責任を負っているのだから、自分のやりたいようにするのは当たり前だ。気に入らなければ、解任するしかない」と断言した。
 これはまさに、「日産を黒字にできなければ辞任する」と宣言したときのゴーン氏本人の心境そのものであり、「自己の信念を貫き通さないと経営は成り立たないし、信念を貫く以上は全責任を自ら負うのは当然だ」という、彼の揺るぎない経営哲学の一端が覗かれる。
 ゴーン流マネジメントについては、勿論、活字で紹介されている範囲においてしか知り得ないのであるが、彼の著「ルネッサンス(再生への挑戦)」の中で、「マネジメントの基礎は、問題を特定すること、優先順位を確立すること、あらゆるレベルで双方向コミュニケーションを促進すること」と述べている。
 さらに、危機的状況の場数を踏むことによって、どんな問題でも核心さえ見抜くことができれば、「解のない問題はない」という格言を経験的に確信をしているという。
 それから、氏は、経営者の資質として「決断力と集中力と前向きな姿勢」を重視しているように思える。その前提には、「企業はつねに試練を恐れず、危機的状況に立ち向かい、仕事の緊張感を維持しているときこそ、成長できるのである。何故ならば、そのような状況において、初めて人間は自己変革ができる」という考え方に立っている。
 そして、決断とは、責任をとる覚悟であり、自己の信念に忠実にやりたいことをやるからこそ、集中もし、前向きになれるのである。
 危機的状況に敢えて身をおき、問題意識を共有し、決断力と集中力をもって自己変革へチャレンジしていくことこそ、ゴーン流マネジメントの真髄ではないだろうか。
 トップは、つねに組織に緊張状態を維持しなければならない。それ故に、ユーモアのセンスも必要と考えている。
 ゴーン氏にあやかって、W杯におけるゴン(中山)の活躍を期待したい。