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考える言葉

 

上海

 
2002年07月01日(月)

 2泊3日の滞在であったが、止まることを知らない経済発展を続けている中国の象徴ともいえる上海市へ訪れる機会を得た。

 上海といえば、人口約1600万人。ゴミゴミした雑踏の町並みをイメージしていたが、
香港の高層ビル街に、もっと空間的余裕をもたせたようなモダンな都市に年々様変わりしているようだ。

 中国は、80年代後半から急激な経済発展を遂げ続けている。すでに、GDPは130兆円の規模を超え、まだ日本の25%ではあるがG7のカナダをはるかに超えており、未だその勢いは止まりそうもない。

 然しながら、中国の可能性に対しては消極的な見方も多い。恐らく、共産党による一党独裁の政治体制から生じる矛盾を不安視しているのだと思うが、12億の人口を抱えた懐の深さや経済的欲望に目覚めた中国人の姿を目の当たりにすると、日本経済にとって大変なインパクトであることは、否定できないだろう。

 九州から一時間半程の距離だから、東京へ行くのと変わらない。すでに長崎から40数社の企業が上海へ進出しており、今後も恐らく、増え続けるのではないだろうか。

 スーパーに並ぶ品数は豊富で、日本より値段が高いものも結構多く、マクドナルドやスターバックスは、日本と値段は変わらない。働いている店員の時給は60円ほどだというから驚く。

 何かと平準化されている日本と違って、今の中国は所得格差が激しく、ほんの1~2%の経済的特権階級は、想像もつかないほどの大金持ちになっているらしい。全体の数%に過ぎないといっても、12億の人口を抱えているわけだから、運転手付きの高級車に乗り、一回で何万円もするような外食を楽しめる層が、相当存在していることになる。

 私が話した上海の実業家は、15~20%の利益を残すという。「日本の企業はせいぜい5%も上げれば良いほうだ」といったら、「それで、どうやって企業が成り立つのか?」と驚いていた。

 今の中国経済は、経済的野心に目覚めた貪欲な実業家と驚くほど低賃金で働いている労働者によって成り立っているといえよう。

 もし、中国へ進出するとしたら、①欲と欲をぶつけ合わないこと(欲では到底かなわないだろうから)、そして②平準化された日本の常識で中国の市場を見ないことが肝心だと思う。

 当分は続くであろう中国の脅威、「百聞は一見に如かず」である。