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考える言葉

 

様々な中国観

 
2002年07月15日(月)

 夏季全国経営者大会(7月11~13日、東京帝国ホテルにて)からの初日のレポート。大前研一、日高義樹、石原慎太郎氏らの論客が初日の講演を飾った。
各氏それぞれのテーマがあっての講演だったが、いずれも「今の、中国をどう観ているか」について、三者三様の見方をしていたので紹介をしたい。
大前研一氏(経営コンサルタント)は、最近の彼の著書「チャイニーズ・インパクト」などでも分かるように、中国の変貌は脅威であって、決して無視できない派。自分の会社をリ・ブート(ブーツを履き直す、転じて根本化から見直すの意)するためにも、中国を旅して自分の目で見ることを勧めている。氏自身も、中国で事業を始めたという。
アメリカ通の日高義樹氏(米・ハドソン研究所主席研究員)の見方は、アメリカからの視点で面白い。氏によると、ドル安・円高傾向は、ブュシュ政権の世界経済再調整戦略であるとしている。つまり、中国は崩壊すると考えておらず、むしろ中国や東南アジアの経済を拡大させることによって、日本が抱え込んでいるドル債権の分散を狙っているのだという。所詮、ブッシュ政権にとって経済は二流の問題であって、中国は政治的には敵国であるが、経済的にいくら大きくなっても、いざという時には、アメリカの持つ政治力と軍事力でどうにでもなると考えているらしい。
さて、石原慎太郎氏(作家・都知事)であるが、氏の歴史観からくるのであろうが、中国嫌いである。南京大虐殺のでっちあげ、北朝鮮を操っての政治的揺さぶり。奥地の人間を低賃金でこき使い、目が悪くなると首にして、一部の人間が暴利を貪るような経済構造。そんな国が信用できるはずがない。
ざっと、こんな風であるが、書店に並ぶ中国の「脅威」や「分裂、崩壊」など様々な本の多さでも分かるように、中国に対する関心度は高く、日本にとって経済的のみならず政治的にも無視できないことは事実である。
私たちは、日本の未来を考えるとき、日本にとって歴史的にも地理的にも最も近い隣国の一つである中国の真の姿をもっと知ることに真剣にならざるを得ない。そうでないと、アメリカの恐るべき戦略の餌食になるのは、まさに日本ではないだろうか。
中国へ進出した日本企業が、「だまされて」撤退を余儀なくされたという話を聞く。そんな中国人の節操のなさを嘆く前に、しっかりと真実を見極める眼、すなわち、私たち日本人の価値観を高めることを忘れてはならないと思う。
中国に関しては三者三様の見方をしていたが、三氏に共通した意見があった。それは、日本人の“危機感の欠如”であり、“リーダーシップの欠如”であった。
今のままでは、「この国、ほんとうに沈むよ!」(石原慎太郎氏)