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考える言葉

 

明るい構造改革

 
2002年07月29日(月)

 小泉内閣の政策ブレーンとして「明るい構造改革」を提唱し、民間レベルでの意識変革とそれを支えるインフラの拡充があってこそ、日本の未来は明るくなるという信念で活動されている島田晴雄教授(慶大教授、内閣特命顧問)の「新産業創出」研究会(全六回)へ参加した。(7月24日、東京・芝パークホテルにて)

 同教授によると、「日本人は世界最大の資産を貯蓄しながら、最も不安な人生を送らざるを得ない状態にある」、それはキャッチアップ時代の戦略が形骸化しているのに拘らず、そのままの惰性を続けている結果であると指摘している。

 GDP(国内総生産)の六割を占める消費が伸びない限り、経済の回復はあり得ない。生活者が本当に求める新事業の創出こそ、バブル崩壊以降、罠にかかったように低迷を続けている日本経済を救えると提言されている。

 今回の研究会は、このような考え方を具現化するために、産学あるいは官民一体でアイデアを出し合い、できる方法を議論していこうというものである。

 今回は第一回目で、今後の方針などが概論的な内容であったが、次のような新事業の提案があった。

(1) 安心を提供する総合ケア産業(安心ハウス構想など)
(2) 資産価値の減らない住宅産業(住宅市場研究会など)
(3) 働く家庭を支える子育て産業
(4) ライフモビリティ産業(共同自家用運転手など)
(5) コンシェルジェ・サービス産業など

 これらについて、ビジネスモデルを構築し、その内容を総理にフィードバックし、補助金ではなく、規制改革を促すことによって、経済活性化のための新事業の早期実現を図ろうとしている。

 二回目以降は、参加企業の中で既に、このような課題に主体的な展開をされている方々の情報提供をベースに、実行可能性を追求する議論が予定されている。

 わが国が持っている経済的資源を、発想を転換するという視点(生活者重視)で捉えると、様々なアイデアとビジネスの可能性が生まれてくることを確信できた。

 新しい時代のパラダイムに合った経済的インフラの再構築が急がれる。さらに、それを主体的・自主的に活用できる、すなわち未来を自らの手で描ける人材の育成、すなわち学習組織の充実が課題としてある。

 NN構想の会は、その学習組織の全国ネットしての役割を担えるのではないかと考えている。

 次回以降もレポートを続けたいと思う。