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考える言葉

 

人を育てる

 
2002年09月16日(月)

「人は余っているが、人材がいない」、経営者が抱いている共通な悩みの一つに“人材不足”がある。
 ある会合でも、“人材不足”が話題となったが、結局のところ「自分のところで、じっくりと時間をかけて育てるしかない」 という結論が大方の処。
 至極、当然の結論であるが、一つ問題がある。それは、「人材とは何か?」つまり、求める人材ヴィジョンがはっきりしていないのである。
 ある社長から「社員教育を徹底したいから、一度話をして欲しい」という依頼があった。そこで、社長の人材ヴィジョンを訊ねてみると、やはり曖昧な答しか返ってこなかった。
 人材不足、つまり人材が育ってこなかったという現実(結果)の根本原因は、ここに存在しているのではないだろうか。
 「どんな人材に育ってもらいたいのか」「何故そのようになってもらいたいのか」について、しっかり答えることができるようになるのが先決である。
教育や研修費にけっこうな予算をつかっている企業を見受けるが、無駄になっていることが多い。「人材がいない」と嘆く現実が、それを物語っているではないか。
私は、真の人材を欲するならば、“理念(目的)”の教育を先行させるべきだと考える。つまり、「何のために、仕事をするのか」「何のために、会社(自分)は存在しているのか」をしっかりと考えてもらうことから始めるべきだと思う。
この“理念(目的)”を明確にしてこそ、その実現のために自分が「何を為すべきか」がはっきり分かるのであって、自分の頭で「為すべきこと」を考えるようになるのである。
自らの進路を見定め、レールを敷くことから始めなければ、生き延びていくことが困難な時代になったのである。
「何のために」「何故?」を問うことをしないで、ハウツーなどの知識や技術の習得を先行させてきた結果が、自分の頭で考えることをしない人間を作ってきたのではないか。
「結果(目の前の現実)」から「原因(自分の中にある)」を正しく観ることができない人が多い。それゆえに、同じ失敗を何度もくりかえす愚行を為す。
これからの人材とは、自己の本質を見極め、何をなすべきか(目的)を明確にすることができる人間のことをいう。
それ故に、人材教育は理念(目的)を先行させるべきである。「人を育てる」にはトップの理念が大切である。