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考える言葉

 

組織設計

 
2002年10月28日(月)

 「大改造!劇的ビフォーアフター」というTV番組(日曜日)がある。これを観ていると、どんなに限られた“居住空間”でも、設計者次第でいか様にでも変貌できるものだと感心させられる。
 しかも、家族の一人ひとりの夢や希望を同時に適えてくれるような大改造をやってのけるのだから、ビフォ-とアフターの違いに感動のドラマが生まれる。
 この番組に出演する設計建築士(匠)は、自分の仕事に揺るぎない哲学を持っており、しかもそれを具現化する確かな技術を兼ね備えているといえよう。それは、同じ生活空間を共有する家族一人ひとりの想いを統合し、それぞれのライフスタイルを尊重しつつ、機能的な間取り(独立空間)を創りあげていく。しかも、未来の家族構成の変化に適応できるように柔軟性を持たせている。
 それから改造の演出において、素材のリサイクルと自然採光(外部環境)などを生活空間へ取り入れることを忘れていない。
 このように考えてみると、彼らが描く生活空間の根本をなす哲学とは、生命体をモデルとした有機体思考(システム思考)ではないだろうか。つまり、生活空間を構成するあらゆるものが全て関わりあって存在しており、お互いに影響し合いながら人生ストーリー(物語)を創っていることを設計という仕事を通して体感しているのだと思う。
 私は、これからの組織リーダーの大切な役割は、しっかりとした“組織設計”を描き切れるかどうかではないかと考える。
 設計がしっかりしてなくて、貧弱な組織だと、夢は膨らんでいかないだろうし、窮屈を感じるだろうし、何よりも思ったような成果がでない。その組織に関わる人たちの未来に不安が広がるであろう。
 組織設計を描くとき、リーダーが先ず為すべきことは“組織の理念・目的”を明確にすることである。この基本設計(理念・目的)がしっかりしていないと、部分の構造設計をいくら描いても組織は機能しないであろう。
 さらに大切なことは、この基本設計の段階で、組織内部の部署間の関係性のみならず、外部環境との関係性も合わせて統合できるような理念を描き切れるかどうかである。
 そのためには、「ビフォーアフター」で感動的な生活空間を創造してみせる匠のような揺るぎない哲学(思想)を学び、実践する力を持たねばならない。
 それは、そこに息づく生命をモチーフにしたシステム思考をベースに組織を統合化できるかであろう。
 停滞している組織は、設計の見直しが必要であると考える。