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考える言葉

 

因果の法則

 
2003年09月22日(月)

 私たちは何か問題が生じると、必ずといってよいほど「どうして、そのようなことが起こったのか、必ず原因があるはずだ」と原因の追究に走る。つまり、私たちの意識の中に、いわゆる“因果の法則”が生起する。
 “因果の法則”とは、一切のものは原因があって生起し、原因がなくては何ものも生じないという法則であるが(広辞苑)、もちろん一定の原因がつねに一定の結果を引き出すというような単純な話ではない。
 道を歩いていると、落ちていた石ころにつまずいて大怪我をしたとする。どうして大怪我をしたのか(結果)と問われると、石ころにつまずいたからだ(原因)と応えるであろう。しかし、いつも歩かないこの道を今日に限ってなぜ選んだのか?他の人が気付いていた石ころに、私はなぜ気付かなかったのだろうか?などと、疑問が生じてくる。
 このように考えていくと、今日に限ってこの道を選んだ理由とか、考え事をしながら歩いていた自分の中に真の原因が潜んでいたといえるではないだろうか。石ころは、怪我にとって間接的な条件に過ぎなかったことになる。
 原因から結果が生起されるプロセスにおいて、原因に何らかの諸条件の働きかけがあって結果が生じているという、“原因と諸条件と結果”の関係を明確にしていかないと真実はみえてこないのである。
 実は、経営について考えるときも、原因と諸条件の関係を混同してしまうことによって、問題との向き合い方を誤ってしまうことが多い。
 あらゆる原因のすべては自分の中に潜んでいるのであって、売上げ低迷の原因だと思い込んでいる景気の動向や競合店の進出などは、自分の外にある諸条件(外部環境)の変化に過ぎないのである。
 自社の経営計画を策定する目的は、未来のあるべき姿(結果)を描くことにあるが、それは、「自らの現状における経営資源(原因)を外部環境にどのように条件付けるか」をしっかりと思考するプロセスであり、自らが描いた未来のあるべき姿を創造していくプロセスであるといえよう。
 つまり、未来に軸足を置いて、先ず未来のあるべき姿(結果)を明確にする。そして、外部環境(条件)と自らの経営資源(原因)をどのように組み合わせると自分の期待しているような結果を掴み取ることができるのかを真剣に考えてみることが経営にとって極めて大切なことである。
 過去に軸足をおいて経営をしていると、外部環境の変化に翻弄され、思わぬ方向へ流されてしまう。
今、私たちに求められているのは、未来からの逆算である。