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考える言葉

 

未来からの逆算

 
2003年09月29日(月)

 繰り返し経営計画をつくっていると、経営とは“未来からの逆算”であるということがよく分かる。
 「あなたの未来は明るいですか、暗いですか?」と問われると、「明るい、暗い」の意味に少し戸惑いつつも、どちらかの答えをだす。
 もっとも未来が明るいかどうかは、その人の主観である。明るいと答える人は、先の見通しができているのだろう。もっと厳密にいうと、自らの未来のあるべき姿を鮮明に描くことができており、そこに到達するために何を為すべきかが、分かっているということである。
 為すべきことの内容が困難であろうと、為すべきことがはっきりすれば迷いが生じることはない。行動のエネルギーは自然と湧き上がってくるものだ。為すべきことが、明確であるにも関わらず、やる気がでないとすれば、それは経営者として失格であって、ここでは一応論外としよう。
 まだ一度も訪れたことがない場所へ行くときに、戻るときの道のりより、行くときの方がずっと長く感じるものである。迷うことなく、目的地へ着けるのであろうかという不安が心によぎる。逆に、戻るときがはやく感じるのは、その道のりが分かっていることへの安心感であろう。
 経営とは“未来からの逆算”であるという実感は、まさにこのような心境で経営に携わっていることであり、先見経営・先行管理の仕組みを確立させることによって、未来を先取りし、あたかもすでに何度も歩んだ道のりを歩んでいるがごとき安心感をもって、経営をすることである。
 私たちは経営計画を策定するプロセスにおいて、目的地に到達するために有効な手段や方法をあらゆる角度から検証し、確信が持てるまで何度も繰り返しシミュレーションする。
 人間とは不思議なもので、価値ある目的を描き始めたときから、それを実現するための手段や方法など様々なアイデアが湧き出てくるものである。これは、経営計画を何度も何度も繰り返し、策定していると誰もが体験する不思議な現象である。
 経営計画を策定する目的は、未来を描き出すことにある。経営者であれば、誰もが一度はつくったことがあると思うが、やり続ける人とそうでない人が出てくる。私の知る限りにおいて、経営とは“未来からの逆算”であると実感した人で、経営計画の策定を放棄した人はいない。
 改めて、思う。経営とは“未来からの逆算”である。