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考える言葉

 

先見力

 
2022年04月04日(月)

 「先が読めない時代である」といわれるようになって久しい。
 あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来予測が難しい状況にあることから、
「VUCA時代」と呼ばれている。
 さらに、新型コロナウィルスの流行という想定外の出来事もあり、一層不安を募らせている感がある。「100年に一度のパンデミックだ」とも言われているようだが、いよいよ、『断絶の時代』が到来したのだろう。
 ドラッカーがいう『断絶の時代』とは、連続性、連綿性のない飛躍としての時代変化を言う。そんな時代環境の中で未来への予兆を、的確に読み取るのは、それなりの“先見力”が要求される。
 では、その“先見力”を磨き、高めるためにはどうしたらいいのだろうか。「苦しいときのドラッカー頼み」といこう。
 ドラッカーの鋭い“先見力”は、次の6つの源泉にあるという。
 ①マクロ(経済)とミクロ(経営)との両方に強いこと
  言葉を変えていうと、全体と部分の関係性を見抜ける観察力があるかどうかであろう。
 ②歴史通であること
 古今東西の歴史に対する該博な知識、教訓の読取りの甚深さがあること。
 ③グローバル的な思考であること
  グローバルとは、「地球的な、全世界的な広がり」「普遍性を持った」という意味である。
 ④マルチ人間の特徴を存分に発揮すること
  近視眼的ではなく、多角的な視野に立つことである。確かに、ドラッカーはジャーナリスト、投資銀行のエコノミスト、大学の教授など、多角的に闊歩している。
 ⑤あくなき統合への執念があること
 統合への執念のためには、狭い視野に捉われず、大局観を養う必要がある。
 ⑥流行の中に不易を見抜けること
  移りゆくものの中に、移りゆかざるものを観ることであろう。
 見えにくい未来を観るための“先見力”・・・。
 過去の延長線上に未来がない乱世において、「分析予測型」の手法だけでは通用しないのである。未来を「洞察創造する」“先見力”が求められている。
 ドラッカーはいう、「未来はすでに始まっている」と・・・。
 
                   ”考える言葉”シリーズ(22‐13)