本文へ移動

考える言葉

 

小 人

 
2004年05月17日(月)

 「キッズ・リターン」(北野武監督)という映画のビデオを観た。もう何年か前の作品だそうだが、「半端な人間って、決まってこんなバカやっちゃうのだ!」みたいな、そんなところがあって、たけし流の滑稽さと悲哀を感じさせる作品だと思う。
 この世は、ある意味において、半端な人間の集まりみたいなところでもあるからドキッとさせられるが、それにしても他人のバカさ加減は、よく見えるものである。
 人生の目的を描けずに、“トコロテンのような人生”を送ってしまう半端な人間、つまり、小人の陥りやすい罠(思考の癖)について、思いつくままであるが、自分への戒めのためにも書き留めてみようと思った。
(1)暇を持て余して、バカなことをしてしまう
(2)自分を欺いて、すぐに自己満足をしてしまう
(3)物事を中途半端で投げ出し、最後まで成し遂げない
(4)甘い誘惑には乗りやすいが、諫言には頑なところがある
(5)悔いても、改めることができない
(6)他人の成功を羨み、妬む(足を引っ張る)
(7)小さなプライドにこだわり、意固地になる
(8)窮すれば、悪に手を染める
(9)運をつかんでは有頂天になり、失敗をしてしまう
(10)ずるずると悪に染まる
(11)視野が狭く、独善的になりやすい
(12)から元気はあるが、結果が伴わない
 自分の中の“小人”をえぐり出すと、15項目ぐらいはすぐに出てくるだろうと思っていたが、結構、これが難しい。いかに日頃の自己言及がいい加減であるかが、こんなときに良く分かる。
 映画のラストシーンでは、挫折した二人の主人公が再会。昔、二人乗りして通った自転車で母校の校庭へ行き、語り合うシーンがある。
 「マーちゃん、俺たち、もう終わっちゃったのかな」
 「バカヤロウ、まだ始まっちゃいねーよ」
 人間は、挫折や敗北をして、自分の弱さと向き合う。そこから、何かをつかんで、本当の戦いが始まる。
 志を描けないでいる人間は、みな“小人”である。つまり、まだ、何も始まっちゃいないのである。