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考える言葉

 

自社とその顧客

 
2004年06月21日(月)

 どんな業界においてもいえることであるが、その業界が提供する商品やサービスを必要としている顧客がいて、はじめて成り立つ。それは、顧客にもいえることで、不足しているものを提供してくれる業界があるから快適な生活が送れるのである。
 つまり、業界とその顧客は、需要と供給の関係において、本来、共存的である。しかし、当然のことながら、現実には常に共存関係にあるとはいえない。
 需給のアンバランス(力関係)、企業間における顧客獲得競争、顧客のニーズの変化などが要因となって、利害得失が顕著になることが多い。
 特に成熟化した市場においては、顧客のニーズは多様化し、限界効用も逓減するわけだから、価格の値下げや新商品・サービスの開発コストが増え、企業間の競争は激化し、収益力が逓減することになる。
 今、多くの業界がそのような状況にあり、従来のやり方を見直し、パラダイムシフトしなければならない、まさに転換期にある。
 その意味において、トップリーダーの“洞察力と決断力、そしてリーダーシップ”が強く求められているのである。しかし、残念ながら、そのいずれも欠落しており、自社の舵取りができないで悩んでいる。
 何故だろうか・・・・・?理由は明らかではないか。自らの経営をしてなかったからである。
 “業界とその顧客”という関係において、景気の動向を気にしながら適応し、仕事をやってきたが、“自社とその顧客”という関係において、どれほど深く、独自の経営観をもって自社の未来を考え、戦略的な経営をしてきたか?と問われると、確信が持てない。これは、ある経営者の本音である。
 どんなに不況業種といえども、業界丸ごとなくなると考えている経営者はいないだろう。では、どんな企業が残って、その業界は再編され、生き残っていくのか?もう、業界丸ごと儲かるなんて虫がいい話はないのである。
 顧客は、確実に“業界”ではなく、“企業そのもの”を選んでいるのである。つまり、顧客に選ばれた企業が元気なのである。
 業界の景気をどうのこうのと評論するまえに、“自社とその顧客”との関係そのものを真剣に考えるべきである。
 「自社とその顧客との関係は、何において共存的であり得るのか?」、この問いこそが自らの経営を考える原点であり、自立の第一歩だと考える。
 企業はその顧客との関わりの中で、常に自己成長を遂げていくものである。