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考える言葉

 

イメージ

 
2004年08月30日(月)

 アテネ五輪でのアスリートたちの戦いは、とても熱くて、感動的だ。金・銀・銅のメダリスト達になると、筋力的あるいは能力的には拮抗しており、その差は紙一重もないだろう。
 勝敗の行方に究極において影響を与えるのは何だろうか。恐らく、戦いに挑んだときの“心の状態”ではないだろうか。勝つための条件を筋力的あるいは能力的に訓練するはできても、心は瞬時に動くのでコントロールが難しい。
 イメージトレーニングという方法があるが、一流選手や成功している人は、それが無意識であろうと、“心の状態”を自分にとってベストの状態へもっていけるイメージ力をもっているようだ。
 人間は誰しも、“自己イメージ”をもっており、それは自分に対して抱いているイメージのことで、プラスの自己イメージ(好ましい自分)とマイナスの自己イメージ(好ましくない自分)とがある。
 それは長い年月をかけてつくられたイメージで、いったん潜在意識のなかに刷り込まれてしまうと、一人歩きをはじめるので、コントロールできなくなる。突如、マイナスの自己イメージにとりつかれると、不安や自己嫌悪におちいり、どうしたら良いのか分からなくなり、無気力になってしまうことがある。
 プラスの自己イメージばかりを受け入れて、マイナスの自己イメージから逃げてばかりいると、いざという時に、マイナスの自己イメージの反撃を食らうになる。
 いざという時に、“心のイメージ”を自由自在にコントロールしたいと思うならば、むしろ、普段から、“あるがままの自分”を受け入れる生き方をすることである。つまり、プラスの自己イメージだけでなく、マイナスの自己イメージこそを受け入れて、しっかりと向き合うことが大切である。
 自分にとって好ましくない現実から目を背けていたら、何も変わらないが、その現実を受け入れると、不思議と人間には変わる勇気が湧き出てくるものだ。それと同じで、マイナスの自己イメージをいったん顕在意識下におくと、能動的にマイナスの自己イメージと付き合うことができるようになり、コントロールできるようになるのである。
 経営計画を策定することは、経営者にとって、まさに拮抗した戦いに勝利を収めるために必要なイメージトレーニングを行うようなものではないだろうか。
 目的を特定し、その価値に信念を抱き、自社の強み弱みを分析して、行動のための戦略と戦術のシナリオを描いてみよう。勝てると確信をもてるまで、何回でもシミュレーションを繰り返す。まさに、イメージトレーニングである。