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考える言葉

 

名言

 
2004年09月06日(月)

 歴史に名を残すほどの人物には、その名と共に必ずや“名言”が残されているといってよいだろう。
 身近にいたものが、その言葉に感動し、深く胸に刻み、遺訓や家訓などの形で伝承され、今日に及んでいる。私たち現代人は、それらを収録し、紹介した名言集あるいは名将の言行録といった書物で、それらの“名言”に容易に出逢うことができる。
 あまりにも容易に出逢えるので有難みを感じない人もいると思うが、“名言”とは「物事の本質を、的確かつ簡潔に言い当てた言葉のこと」であるから、熟考すればするほど、味わい深いものである。
 「けだし、名言である」という言葉があるが、“名言”は私たちに“考えるヒント”を与えてくれる。そのまま、“生きるヒント”になる言葉も多い。
 つねに、本質を見極めて生きてきた人の言葉である。感動的だったり、ズシッと重かったり、目からうろこが落ちたり、と印象は様々だと思うが、心に響くのである。
 経営者だったら、次のような疑問を持ったことがないだろうか。
 「歴史に名を残すような人は、どうして、こんな“名言”が頭に浮かんでくるのだろうか?」と・・・・・。
 この疑問は、経営者にとって重要なことである。何故ならば、人を動かし、人を育てる仕事をしていながら、一つも“名言”がないとすれば、それはもうすでに問題ではないだろうか。
 “名言”が、物事の本質を究めた言葉だとすれば、経営者には“名言”の一つや二つはあっても良いのではないかと思う。真に経営とは、「物事の本質を見極め、それを実現するための営みである」からである。
 “名言”を残した名将は、「戦いに勝ち、生き残るためには、自らがいかにあるべきか?」と、つねに、その本質を問い、考え抜いたに違いない。
 そしてさらに、それらを言語概念化し、運命を共にする人々にいかに伝えるか、その意思をもって考え、生きてきたに違いない。だからこそ、“名言”を多く残せたのだと考える。
 言葉の力を知っているのだ。恐らく、自らも自己を奮い立たせる歴史の“名言”に、何度も出逢い、触発されたにちがいない。それゆえに、言葉を大切にしたのではないだろうか。
 “名言”は、人の心を動かす触媒である。トップリーダーは、つねに、深く考え、言葉を選び、語りかけるべきであろう。