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考える言葉

 

概念力

 
2004年09月20日(月)

 少し難しい話になるが“概念力”について考えてみたい。
 広辞苑によると、“概念(コンセプト)”とは「事物の本質をとらえる思考の形式」とあるので、“概念力”とは「事物の本質をとらえる思考の力」とでも定義しておきたい。
 今、どの企業もたいへんな転機をむかえている。トップリーダーは、過去の成功体験にとらわれることなく、「なにを残し、なにを捨てるのか」を明確に決断しなければ、恐らく生き残ることができないだろう。
 私は、そのときに大切なのが、“概念力”ではないと考える。「経営の本質とは何か?」、「自社の存在を可能ならしめているものは何か?」という、事業の根本をなす問いについて言語概念化する力があるかどうかである。
 では、“概念力”を磨くために必要なことは何であろうか。そのためには、先ずは次の二つの思考法を意識することが大切ではないかと考える。
 一つは、「手段に捉われるのではなく、目的から考えること」、つまり、“目的思考”である。「どうすれば・・・?」ではなく、「何のために・・・?」を先ずは問うことから考えるのである。
 次に、「部分に捉われるのではなく、全体から考えること」、つまり、“全体(システム)思考”である。自己を中心に考えるのではなく、場を中心に考えることを意識することである。
 このような話をあるセミナーでしていると、次のような質問が飛んできた。
「“概念力”が大切なことは分かった。それを磨くためには、“目的思考”と“システム思考”で考えることだというが、“そのためにはどうすればよいのか?”」
 「なぜ?」という本質を問うことから始めず、「どうすれば・・・?」というテクニックから入るから応用が利かず、すぐに行き詰ってしまうという話をしていたつもりであるが・・・・・。
 “概念力”を磨くためのコツやテクニックを身につけることは、もちろん大切である。だが、もっと大切なことは、「今まで“概念力”を磨くことの重要性をどれほど深く認識していただろうか?」を自らにしっかりと問うことである。
 何故ならば、今までそのような意識は、まったくなかったのではなかろうか・・・・。
 先ずは、“概念力”という概念を自己の意識の中に叩き込み、「いつも、その重要性を意識すること」である。
  トップリーダーは、“概念力”を意識することからはじめよう。そうすれば、自ずと“概念力”は磨かれていくはずである。