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考える言葉

 

三つの成果

 
2022年05月09日(月)

 ピーター・F・ドラッカーは、マネジメントを「組織として“成果”をあげさせるための道具、機能、機関」であると定義した。
 つまりドラッカーのいうマネジメントは“成果”をあげることが大前提であり、“成果”をあげるための組織において共通して役立つ理論を体系化したものだといえよう。
「主役は“成果”である」と、ドラッカーは『マネジメント』のまえがきで宣言しているように、ドラッカー思想を理解する上で、最も重要なキーワードだといえよう。
 ドラッカー思想に出会う前までは、「主役は努力」であったように思える。「一生懸命に努力した結果だから、しょうがない。諦めるしかない・・・」等々。
 しかし、ドラッカーの言葉に出合った時から、考え方を変えた。
 「“成果”が出なかったのは、努力が足りなかったからだ。あるいは、努力の方向性を間違えたからだ」と。そう考えることによって、検証の質が高まり、次のステップへの様々な気づきが得られるようになったと思う。
 目的と“成果”は、切っても切れない関係にあるといえる。
 目的は組織が進むべき方法を指し、“成果”はその過程で具体的に手にする結果をいう。
 マネジメントの目的は顧客の創造にあるが、そのために最善の努力を払うが、“成果”はその過程で具体的に手にする結果だといえる。
 ドラッカーは、多くの組織はミッションを持っており、それを実現するために、次の三つの領域の“成果”が必要だと指摘している。
 ① 直接の成果
 ② 価値への取組み
 ③ 人材の育成
 ここでいう、①の「直接の成果」とは、売上や利益、顧客数などをいう。これらは測定可能で、企業の標準的な評価尺度として不可欠なものである。
 ②の「価値への取組み」とは、顧客価値の継続的な創造を意味している。顧客が支持してくれる要因を突き止め、継続的にその価値を高めていくことである。
 そして、③の「人材の育成」は、組織の明日を考えれば避けて通れない重要な“成果”である。
 正しいマネジメントとは、これら“三つの領域の成果”を明確かつバランスよく定め、舵取りをしていくことに他ならないと思う。
 「“成果”は主役である」というドラッカーの言葉を改めて噛みしめてみたい。
                   ”考える言葉”シリーズ(22‐18)