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考える言葉

 

VRIO

 
2023年03月13日(月)

 経営戦略のフレームワークに“VRIO”(ブリオ)分析というものがある。1991年のジェイ・B・バーニー(ユタ大学経営大学院教授)が提唱したフレームワークである。
 次の4つの頭文字を取ったもので、企業の経営資源の競争上の有効性を示すものである。
①Value(バリュー):経済的価値(顧客、社会)
②Rarity(レアリティ):希少性(他社の追随が困難)
③Inimitability(インイミテイビリティ):模倣困難性(老舗など)
④Organization(オーガニゼーション):組織(統合的な組織力)
“VRIO分析”は、①~④の順に評価を行っていく。
4つの項目すべてが、Yesであれば「持続的な競争優位」とみなされる。
つまり、経営資源を最大限に活用できていると考えられる。そして、希少で模倣されにくい高価値の経営資産を有しており、そのフルパワーを引き出す組織が構築されていると、評価できるということだ。
一方、すべてがNoであれば、「競争劣位」と判定される。
つまり、企業が有している経営資源に価値すら見出せず、組織力においても他社との競争力がないという判定になるため、最悪の場合、事業存続の要否も考えたほうがいいだろう。
 “経営戦略”(management strategy)とは、企業において、その事業体が経営目的を達成できるようにするための方策全般のことである。
 その経営戦略を策定する場合において、その企業独自の強みや弱みについて分析するスキームとして、“VRIO”分析は極めて有効な手段として体系化されたものだという。
 IG会計グループで毎月、定期的に開催している『将軍の日』(中期五か年計画策定)は、企業の戦略を「考える一日」として、次のような手順で展開している。
①「自社分析」~自分を正しく知る
②「経営理念」~熱意と信念を持つ
③「5ヵ年数値計画」~前向きな数値を持つ
 そのすべてのプロセスにおいて、基本的には“VRIO”的な思考を行いながら、五年後のあるべき姿を描くようにしているのだが、今後はもっと“VRIO”という概念を意識的に前面に出して展開すると、より一層フレームワークが明確になり、戦略に対する問題意識が高まるのではないだろうかと考える。



                   ”考える言葉”シリーズ(23‐10)