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考える言葉

 

 
2020年12月14日(月)

 
 “波”に乗るという表現がある・・・。「時勢に合って栄える。時流に乗る。また、調子に乗る」などの意味合いである。
 成功した人の話の中で、「時代の“波”に乗って、とんとん拍子にうまくいった」ということをよく耳にすることがある。小さい頃、海で遊んでいたとき、“波”に流されたり、戻されたりした経験があるので、その速さたるや肌で感じることができる。
 では、“波”に乗って、大きな成功を勝ち得る人ってどんな人だろうか?まずは、時代の“波”をとらえるセンスを持っているかどうか。
 経営者は大局観を持つべきであるといわれる。大局観を持つということは表面的な事象にとらわれることなく、その現象をもたらしている本質を見抜くことでもあるのだが、「時代の“波”」をとらえることが上手い人であるといえよう。
 例えば、「景気循環論」の考え方がある。そして、その景気循環の“波”は大きく分けて次の4つの種類があるという。
 ①キチンの“波” (在庫に着目した約40ヶ月周期の波)
 ②ジュグラーの“波” (約10年周期の設備投資に着目した波)
 ③コンドラチェフの“波” (約20年周期の建設投資に着目した波)
 ④クズネッツの“波” (約50年周期の技術革新に着目した波)
 それぞれの景気循環の“波”が複雑に重なりながら、景気をつくっていると言われいているが、こういう“波”があるということを知っているのと知らないとでは「時代の“波”」をとらえるタイミングなどが当然違ってくると思える。
 次には、「時代の“波”」をとらえたあとの対処の仕方であろう。つまり、今起きている“波”が自分のビジネスの成否にどのような影響を与えるのかを見極めるセンスだと思う。
 マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は、IBMからOSソフトの開発依頼を受けたとき、「やがて個人一人ひとりがパソコンを持つ時代が来るだろう」直感したという。そこで、IBMと交渉して「OSソフトをIBM以外にも提供できる」という内容の契約を勝ち取ったという。ゲイツ氏は、IBMからの依頼という「小さなさざ“波”」から、その後の大きな“波”がくることを確信したに違いない。
 このように大きな“波”を予見し、その“波”が来たとき、自社はどうあるべきか、対処すべきかを考えるセンスを磨いておく必要がある。
 そのためには、未来会計(管理会計)を経営に活かし、戦略的思考を磨き、未来を見通す力を身につけたいと思う。
                                               ”考える言葉”シリーズ(20‐47