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考える言葉

 

多角化

 
2021年03月29日(月)

 「本業一筋でずっとやってきたのだが、多角化も検討すべきだろうか?」という相談を受けることがある。
 その理由の一つには、業界の成熟化に伴う、成長の鈍化がある。放っておくと、いずれ横這いに陥り、低迷の一途を辿るという不安である。解らなくもないが、当然ながら新規事業に取り組むには、それなりのリスクが伴う・・・。
 経営戦略を検討する著名なフレームワークに「アンゾフの成長マトリックス」がある。これは、縦軸に「市場」、横軸に「製品」を取り、それぞれ「既存」、「新規」の2区分を設け、次に掲げる4象限のマトリックスとした考え方である。
 ①市場浸透戦略 (既存市場×既存製品)
 ②市場開拓戦略 (新規市場×既存製品)
 ③製品開発戦略 (既存市場×新製品)
 ④“多角化”戦略 (新市場×新製品)
 “多角化”とは、アンゾフが提唱した4つの成長領域の一つであり、「新市場」に「新製品・サービス」を出していく考え方である。なじみのない領域への進出なのでそれなりのリスクが伴うといえよう。他の3つの領域での検討も十分に行なったうえで、“多角化”を検討すると良いだろう。
 さて、企業が“多角化”(複数の事業化)を成長戦略として検討する理由を考えると次のようなことがいえるだろう。
 ①経営基盤の平準化・リスク分散
 ②衰退事業の補完による企業の存続性
 ③チャレンジによる企業成長
 ④余剰資金の有効活用
 ⑤経営者の事業意欲
 ⑥シナジー効果
 そして、“多角化”戦略を選択し、実行するときの留意点が3つあると考える。
  • 自社の強み(コアコンピタンス)利用
  • 実行時の徹底度(不退転の覚悟)
  • スピード感(M&Aの活用など)
 激しい時代環境の変化の中、異次元の成長戦略を視野に入れて検討すべきだと考えている。そのとき、“多角化”は大変重要な選択だと思う。そして、できれば本業とのシナジー効果が得られるような“多角化”でありたいと思う。
 
                   ”考える言葉”シリーズ(21‐13