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考える言葉

 

機会損失

 
2021年04月19日(月)

 “機会損失”(opportunity cost)とは、平たくいうと「儲け損ない」のことである。つまり、もっと多く儲けられるチャンスがあるのに、それに気づかずに失ってしまった利益のことである。
 ある飲食店のオーナーの話・・・。コロナ禍で、お店への客足が鈍り、売上が激減したという。しょうがないと諦めていたが、ある日、ある事に気づいたという。それは何かというと、出前の注文が増えているという。
 そこで、出前の受注体制に注力をそそぎ、様々な手を打ったら、業績が上向いてきて、そのうち来店客も戻りつつあると・・・。
 ちょっとした変化に気づくのと、気づかないとで、“機会損失”は防げるものなんだと思った。
 コロナ禍という異常事態の中だけでなく、意外と日常的に“機会損失”が生じていることがないだろうか・・・。
 通常の場合、“機会損失”が生じるケースとして、次のようなことが指摘されている。
 ① 在庫切れ
 ② 店舗のオペレーションによるもの(クレジットカードが使えないなど)
 ③ 生産体制によるもの
 ④ 営業活動によるもの
 ⑤ 内部の連係ミス
 ⑥ 役割分担によるもの
 なぜ、このようなケースが生じてしまうのであろうか?
 一言でいうと、「売る側の怠慢」ということになるのだが、日常的な怠慢と革新的な怠慢がある。
 まず、日常的な怠慢とは、“機会損失”防止のためのルーチン・ワークを怠ってしまったことによるものだ。やるべきことが明確なのにサボっている。いわゆる、気の緩みである。個人的なレベルなのか、組織全体の体質なのか、検討する必要があるだろう。
 もう一つは、革新的な怠慢。それは、環境の変化に適応できなくなっているのに、従来の考え方、やり方を変えようとしない怠慢である。この対策には、イノベーションのリスクが生じる。それなりの覚悟が必要だろう。
 あるセミナーで、こんな話があった。「“機会損失”とは、儲かるチャンスがあるも関わらず、損をしたってこと。だとすれば、対応次第では未来の利益がそこにあるということでもある」と。視点を変えると、そこには常にチャンスがある。
 
                   ”考える言葉”シリーズ(21‐16