1998年02月09日(月)
今世紀最後のオリンピックとなる長野冬季五輪が開幕した。史上最多の72カ国・地域から約3500人の選手・役員が参加し、16日間で7競技68種目が行われる。
開会式は時間を短くし、素朴な感じがしたが、とても感動的だった。日本の伝統文化と現代的ハイテクを駆使しないとできないような演出のミックス効果、そして何よりも「自然との共存」「平和」「子供たちへ託す未来」などメッセ-ジ性に富んだ演出は創造的で素晴らしいと思った。
善光寺の低い鐘の音、大相撲の土俵入り、神楽できく“君が代”の格調の高さ。
モザンビ-クで対人地雷撤去作業中の事故で右手右足を失った義足のクリス・ム-ンさんが、左手に聖火を掲げ、独り開会式場に走り込んでくる場面、スタンドの中に一時姿を消し、グランドに再びすがたを見せたときには、たくさんの子供たちが彼を囲んで伴走してたシ-ン。
やっぱり、圧巻だったのは衛星回線で五大陸を結んだ「歓喜の歌」の大合唱だ。小沢征爾さんの指揮で、ベルリン、シドニ-、ニュ-ヨ-ク、北京、ケ-プタウンと長野の人々が心を一つにして歌い続けるラスト・シ-ンは、とても感動的で、『世界は一つだ!』と心の中で叫んでいた。
小沢征爾さんが、開会式を振り返る番組の中で、「音楽で、世界が一つであることを訴えたかった」といっているのを、後から聞いたとき、この人は天才だと思った。
あの瞬間、世界中の多くの人々が、小沢さんと同じ想いでいたのではないかと、私は感じた。
「愛と平和」「自然との共存」「子供たちへの未来の夢」など、誰もがそうでありたいと願っている筈のメッセ-ジでもある。想い続けたいと思う。
『感動は、人間の心をひとつにしてしまう』