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考える言葉

 

勝利のイメ-ジ

 
1998年03月16日(月)

 勝負で生きている人の中でも名人といわれる人々の言葉には、実に味わい深いものがあり、経営に大変役立つ。
 「・・・、将棋はいずれ終わりますよね。そのとき、相手が投げるシ-ンをいつも頭に描いているんですよ。それでも自分が投げるっていうことがしょっちゅうなんですよ。しょっちゅうなんだけど、いまは苦しいんだけど、この苦しみにず-っと耐えてて、ず-と我慢する、あるいはどっかで勝負手放って、最後には向こうが駒を投げて、『バカな将棋指しちゃったな』とか何とかぼやいて駒を投げるんだ。そのシ-ンが浮かぶんですね。
 それで、もう間違うはず、もう間違えるんじゃないか、もう間違える・・・と思っていると、実際、絶好調の相手が大ポカをやるんですね。それはね、相手に間違わせるっていいますかね。それは、勝ったときのシ-ンがないとダメなんですね、いい結果を頭に描いてないと。
 ですから、事業だってね、銀行から金を借りて何か仕事を始める。仕入れて何をするにしてもね、一年後にはこうゆうふうになって、五年先にはこれだけの店にして、そのときはこうなるとか、そういった夢みたいなものがあるんですよね。そのときには、おれはこうゆうことをしているだろうというのがあるからこそ仕事にも熱が入る。それがなくて、ただ毎日仕事をやっていても、それではダメなんです。一日一日がたんなる点の集まりなんですね。五年先、十年先の勝利者にはなれない」
                                  (米長邦雄勝負論講義)
 先が見えない時代である。変化が激しくて、未来と現在が非連続となってきた。自分の立っている業界なんかなくなってしまうのではないかという恐れすら現実味をおびて聞こえてくる。                                   
 経営者の先見力が今、大変問われている。“読み”というよりも“カン”あるいは“ひらめき”が大事なのかもしれない。
 しかし、日頃何も考えていない人の頭に突然“ひらめく”ことはないのである。考え抜き、悩み抜いていたか、せっぱつまって、なんとか決断しなければならない時に、“ひらめき”という予知現象が起こってくる。
 勝利のイメ-ジを描きながら苦しみに耐え抜き、仕事に打ち込んでこそ“ひらめき”すなわち自身の潜在意識が顕在化するのであろう。成功した多くの経営者は“未来が見えた”と語っている。
 
 『中期五か年計画』を立てることは、
          自身の五年後の“勝利のイメ-ジ”を明確に描くことである。