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考える言葉

 

『地球白書』

 
1998年06月01日(月)

  ロックフェラ-財団の支持を受けて、環境問題のシンクタンクとして設立されたワールドウォッチ研究所では毎年、『地球白書』を出している。
 食料問題、エネルギ-政策、地球の人口増加、気候変動など、環境問題に関する研究を行い、言わば、世界の「年次身体検査」を行っているのであるが、患者の健康状態は悪化の一途をたどっているそうだ。 
 同研究所のレスタ-・R・ブラウン所長は、彼の著書の中で次のように語り、環境問題について警鐘を鳴らしている。
 「世界経済は、この五十年間で六倍に膨れ上がり、地球本来の能力を超えてしまっている。現在のままの形で世界経済が膨脹を続けるならば、最後にはそれを支えている自然のサポ-トシステムを破壊し、衰退していくだろう」
 世界経済が拡大している主因は人口の増大にある。世界の人口は現在約五十億であるが、この五十年間で二倍以上になった。この人口増加は、人類が直立歩行を始めて以来の四百万年間の人口増加より多いことを意味している。
 しかも、地球の人口は、毎年約八千万人ずつ増えており、国連の予測では2050年には九十四億人に達するという。
 こうした人口爆発の問題が食糧危機、エネルギ-問題、森林などの自然破壊これに伴う異常気象、水不足、植物や動物の絶滅種の増加、つまり生態系の崩壊等環境問題の根底あるといえる。
 環境問題を無視して経済の発展は今後有り得ない。今までの経済システムを根から見直すことになろう。
 経済を支える生態系(自然の生命維持システム)と経済をどのようにバランスしていくのか。再生可能なエネルギ-をべ-スにした、再利用(リサイクル)経済の確立を目指すこととなろう。
 人口問題を考えると、地域エゴを捨て、全地球的価値観の確立が急がれる。
 「新しい経済-地球環境の原則を尊重する経済-の構築とは、史上最大の投資機会を意味する。このチャンスを理解する企業が十年後に勝者となっているに違いない。そして、現状にしがみつこうとする企業は過去の遺物として置き去りにされてしまうだろう」(レスタ-・R・ブラウン)