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考える言葉

 

自己実現

 
1998年06月08日(月)

心理学者マズロ-は人間の欲求を五段階に分け、人間は究極の欲求として“自己実現”を目指して生きているとした。
 成長過程において生じるごく当たり前の感情であるが、「人からよく思われたい、名を上げたい、評価されたい」という思いは、他人との比較、つまり相対的価値において一喜一憂する。他人との差で優越感を抱いたり、劣等感にさいなまされたりすることになる。
 そして、幸せになりたいと思って仕事をしているのに満たされない自分に気付かされて嫌気がさしてしまう。
 金や地位や名誉といった他人との比較によって得られる相対的価値にとらわれない絶対的価値としての仕事観を確立する必要がある。
 そのためには自己の存在価値を信じること。自分を信じきるためには、自分の使命を悟ることが大切になる。
 将棋の羽生四冠は、「羽生流としてどんな将棋を目指していきますか」という問いに応えて次のように話している。
 「人は何百年もの間、将棋を指してきたわけですから羽生流といっても難しいと思いますが、対戦した一局一局が意味と価値があったと後世の人から観て語られるような将棋を指したい。そのために、“焦らず、恐れず、前向きに”を信条として生きています」
 若いのに、極めた人のいうことは違う。自己実現の域に達しているのだろう。
 マズロ-は人間の無限の可能性を信じ、人間性を非常に大切にした心理学者だったと思う。
 一人一人が“自己実現”を目指して働いていけるような職場作りをしていきたいと思うし、働くことが自己実現になるのだと思えるように成長したい。
 「有名無力、無名有力」という言葉がある。権力に媚びない、風潮に流されず泰然自若として生きる。
 「人からよく思われたい、名を上げたい、評価されたい」ではなく、大切なのは「世のため、人のために、自分がどれだけ価値を与えきれたか」であろう。
 
  『焦らず、恐れず、前向きに』、自己実現しよう