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考える言葉

 

不況は“普況”である

 
1998年11月02日(月)

日本経済の現状について、朝日新聞は社説で次のように述べている。
 「日本経済はたとえてみれば、肥満で不健康だった人が手術を必要とする病気にかかったようなものだ。病巣(不良債権)を切除するとともに、ぜい肉(過剰な設備や人員)を落とし、筋肉(新しい産業)をつけなければ、健康体になれない」(´98.11.2 付)
 
 そして、日本経済の再建には「全治五年は覚悟しよう」と診断を下している。それは次のような理由が考えられる。
 
 (1)この不況が構造的であり、公共事業や減税など従来型の景気対策の効き目が小さい事
 (2)成長期・バブル期の後遺症
  (土地と株をてこにした、銀行の安易な貸し付けと横並び経営での安易な投資による無駄遣い)
 (3)ヴィジョン無き未来
  (リ-ダ-の力量不足、国民の生活への不安や満たされないニ-ズ)
 
 同紙は、一年前に次のような社説を掲げている。
 「不況を“普況”、つまり普通の状態と思う発想の転換をしてみたらどうだろう。ここは日本人の生活を見直し、成長とは何なのかを考え、知恵をしぼる良い機会ではないか。
それは、低成長へ日本経済の身のたけを合わせる努力をすることでもある。高度成長は遠い過去なのに、日本はまだ、“成長の呪縛”から抜け切れていない面がある。企業が“前年比”“他社比”をいたく気にするのも、そのひとつだろう」(´97.10.9 付)
 
 三菱総研の牧野昇氏は「現在の経済状況を、いずれ通りすぎてしまう“不況”ととらえるか、常態として取り組むべき“普況”ととらえるかは、まさにこれからの時代の企業の死命を制する重大問題である」と言っている。全く同感である。
 競争激化の中、業界における二極分化つまり企業間格差は確実に広がっている。いつまでも業績の低迷・悪化を不況のせいにしてたら、本当に取り返しのつかないことになる。今問われてるのは、経営者が「何を考え、何をなしてきたのか」という経営の差である。
 
 (1)不況の後に、好況が来るという常識を早く捨てよう(依存からの脱却)
 (2)横並び意識を捨てよう(自立自助、自分が変われば全ては変わる)
 (3)世の中にはまだ満たされぬニ-ズがたくさんある(お客の立場にたつ)
 
 不況のせいにしている自分を恥ずかしいと思い、一丸となって知恵を出し合い、真の経営努力を今こそしたいと思う。