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考える言葉

 

『売上を最大に、経費を最小に』

 
1998年11月24日(火)

 前回、「会計をわからんで経営ができるか」という題材で『京セラ会計学』の基本となる考え方を紹介した。今回は、京セラが経営における重要な原則と会計との関係をどのように考えているかについて紹介したい。
 企業会計における経営者の関心事は次の二点にあるといえる。
 (1)儲かったのか損したのか
 (2)つぶれる心配がないかどうか 
 勿論、決算書はこれらのことを報告するために作成されているのだが、専門的ル-ルによっているため、素人には解づらいところがある。
 稲盛和夫氏は、「売上から費用を引いた残りが利益」であるという利益のカラクリから要は「売上を最大に、経費を最小に」を経営の原点であると理解し、この原点を効率よく追及するためにはどのような会計システムを構築すべきかを徹底して考え、実践した。
 売上を最大限に伸ばしていくためには、値段のつけ方が決め手になるとして「商売というのは、値段を安くすれば誰でも売れる。それでは経営はできない。お客さまが納得し、喜んで買ってくれる最大限の値段。それよりも低かったらいくらでも注文は取れるが、それ以上高ければ注文が逃げるという、このギリギリの一点で注文を取るようにしなければならない」と語っている。
 確かに、値決めを失敗すると取り返しがつかない事態に陥ってしまう事になろう。あまりにも安い値段をつけてしまうと、どんなに経費を削減しても採算を取れなくなろう。逆に高い値段をつけすぎて、在庫の山となり資金繰りに行き詰まるケ-スもある。
 また、「売上を増加させようとすると当然経費も増える」と思う経営の常識に陥ってはならないと稲盛氏はいう。
 売上を増やしながら経費を減らすことは、生半可なことではできない。しかし、これが経営の原点であり、知恵と創意工夫と努力が必要となる。『利益とはその結果生まれるものでしかない』という稲盛氏の言葉に素直に耳を傾けたいと思う。
 
  (1)売上を増やしながら経費を減らすこと(経営の常識に陥るな)
  (2)値決めは経営である(お客さまが納得し、喜んで買ってくれる最大値の値段)
  (3)見栄を捨てること(経費削減のコツ)