1998年12月07日(月)
人生において“心を込めて仕事をすること”がいかに大切であるかについて考えてみたい。
『一隅を照らす』(山田恵諦著)という書物の中で、伝教大師のお言葉で「道心ある人を名づけて国宝と為す」を引用して、次のように述べてある。
道心とは、道を究めようとする心のこと。仏教の世界では、仏道の精神を体得するために修行をしていくことであるが、私たち一般人でいうと“心を込めて仕事をすること”をいう。
道心ある人を言い換えると、一隅を照らす人であると教えている。一隅とは、「自分の居るところ」という意味。一隅を照らすとは、その場において必要な光を自ら発するようになれという事になる。つまりその場、その状況において役立つ人間、欠くことのできない人間であれということになる。
以上のことを深く考えてみると、仕事をする目的がお金のためでも、生活のためでも、地位や名誉ためでもないことが分かるはずである。
仕事とは、本来「仕える」という意味である。つまり、私たちは仕事を通して、自己の主体的価値を見いだし、世のため人のために役立つ人間として成長していくことが問われているのではなかろうか。
目先の利益や欲望に心を奪われて、自己の主体的価値を見失ったまま、悪戯に人生を送ることほど恐ろしいことはないと思う。
“心を込めて仕事をすること”の大切さの答えは、仕事が必ず自己を成長させ、その主体的価値の創造に帰着するからであると言えよう。
(1)道心ある人を名づけて国宝と為す
(2)道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし
(3)心を込めて仕事をしよう