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考える言葉

 

基本を忘れてはならない

 
1999年03月15日(月)

 いつも良く使う言葉であるが、広辞苑で“基本”という字を引いてみた。「物事がそれ
に基づいて成り立つような根本」とある。
 物事がうまくいっている人にその理由を問うと、「当り前のことを当り前にやってるだ
けです」という返事が実に多いことに気付かされる。これは言葉を置き換えると「基本的な事をしっかり押さえ、確実に日々実践してる」ということではなかろうか。
 今、多くの企業が存亡の危機に立たされ、悪戦苦闘している。日本は戦後50年もの間ずっと右肩上がりの経済を続けてきた。つくれば売れるという企業にとって実にラッキ-な時代だったと言える。そんな中で、多くの企業が安易なハウツ-の習得を競い合い、銀行の乱融資に踊らされ、目先の利益に浮かれていたのかも知れない。
 これからは「売れない時代」が続くのである。実力の差がはっきりしてくる時代である。
実力とは基本の上に積み上げられた経験であると言える。つまり、しっかりとした基本の積み上げがないと、実力は決して身につくものではない。
 多くの企業にみられる業績の低迷の真の原因は、経営の基本を忘れ、目先の成果にとらわれ過ぎてしまったせいではないだろうか。
 だとすれば、早く一から出直す覚悟をすべきだと思う。「企業が成り立つための根本とは何か」と真剣に問うことから始めるべきだとおもう。
 取引の起源は余った物を市場へもっていき、足りない物と交換したことにある。つまり、お互いの必要な物を交換し合うことにある。これを業としたのが商売である。   
 企業は、市場が求めているものは何か、お客は何が不足し、不便を感じ、困っているのか、常に“相手の立場にたって”自分のなし得ることを真剣に考える必要がある。
 そして、生産(仕入)・営業(販売)・開発(企画)といった企業の基幹的機能を果た
している業務についても、何のためにとその目的を問い直し見よう。
 企業が成り立つ根本に適うように、それぞれの基幹機能が働いているのかどうか常にチェックしなければ独自のノウハウは身についてはいかないのである。
 
   『実力は基本の上に積み上げられた経験である』