本文へ移動

考える言葉

 

「バランス感覚」という力量

 
1999年03月23日(火)

 「経営の本質は、矛盾との対峙である」という言葉があるが、言い得て妙である。
 確かに、心を悩ます煩わしい問題が次から次へと生じてくるものだ。考えてみると、経営者とは“矛盾請負業”みたいなもので、組織に矛盾が無くなると自ら矛盾を創り出すことをしなければならない存在なんだろう。
 何故ならば、経営における矛盾の本質とは“変化”に他ならないからである。そして、
経営とはこの変化にうまく適応することであり、この適応がうまくいってこそ、企業は生
成発展していけるのである。
 その意味において、経営者にとって“矛盾との対峙”は宿命みたいなもので、その覚悟がなければ勤まらないともいえる。
 「人生はバランスが大事だ」と良くいわれるが、この「バランス感覚」という力量は、
多くの矛盾を抱える現実の中で常に決断を迫られる経営者にとって非常に大切なものではなかろうか。
 「バランス感覚」とは“とらわれない心”と置き換えても良いと思うが、矛盾を含んだ
問題が生じたときに、その場において最も納まりの良い状態で解決するセンスである。
 特に変化の時代においては、この「バランス感覚」が必要とされるのであるが、これを体得するのは容易ではない。何故ならば、その人の個性に合ったバランスが要求されるからである。自らの体験で掴み取るしかないと思う。
 矛盾と対峙したとき、それを解決するのに“割り切る”という方法がある。いづれかを
切り捨てるといった安易な“割り切り”をしていたのではいつまでたっても“バランス感
覚”は身に付かないだろう。それは、矛盾から逃れて、楽になりたいという気持ちが働いているからである。とことん耐え抜き、考え抜いたとき、フ-ッと“とらわえの心”が消
えて、迷いが無くなる時がある。こんな経験を積み重ねながら、身に付けていくセンスではないかと思う。
 
 (1)経営の本質は矛盾との対峙である
 
 (2)安易な割り切りをしてたのではバランス感覚は養われない
 
 (3)矛盾の本質は変化、矛盾が生じるから成長もある