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考える言葉

 

自らをマネジメントする

 
1999年04月12日(月)

 ピーター・F・ドラッガーは、彼の近著『明日を支配するもの』(ダイヤモンド社)の中で、次ぎのように語っている。

「私自身、本書を書いていて、居ても立ってもいられなかった。なぜならば、先進国の少子化にかかわる問題にせよ、一人ひとりの人間の生き方にかかわる問題にせよ、二十一世紀の現実は、これまで二十世紀において有効であり続けてきた姿勢とは、まったく逆のものを要求している」

 そして、「社会や人口や経済にかかわる二十一世紀の現実は、政府が対処できるものではない」 さらには「乱気流のような時代にあっては、変化は常態である。生き残れるのは、自ら変革の担い手、チェンジ・リーダーとなる者だけである。」と論じている。

 以下のメッセージから、三つの時代キーワードを引き出すことができる。
(1)常識が変わる
(2)全体の秩序が崩れ、個が強くなる
(3)変化は常態、自ら変化になれ

 時代の大転換期には、世の中の常識や過去の成功体験が全く通用しなくなる。全体を支えていた秩序や制度はバランスを保てなくなり崩れざるをえない。必然的に、個の力が強くならざるをえなくなる。そして、生き残るのは変化に適応できた個であることは歴史の教訓である。

 ドラッガーは、これからの時代は「自らマネジメントする」ことができる個の必要性を説いている。個が「自らマネジメントする」ということは、一人ひとりが自立することであり、次のようなことを考えて行動することである。

1)自分の存在価値を考え、その強みを生かすこと
2)自分の所をえていること
3)自分の果たすべき貢献
4)他との関係における責任(相互理解)

 行動は、その人の価値観によって支配されていると言われる。自分を支えてくれているいる環境の変化に順応できる価値観足りうるのか、自らをマネジメントすることが必要な時代である。