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考える言葉

 

自分を語る

 
1999年05月06日(木)

私たちは今、世紀末を迎え、新しい秩序を求め“カオス(混沌)”の中で生きている。
 日本にとって、20世紀は“戦争と平和”の時代だったと言える。         
 20世紀前半は日露戦争、第一次世界大戦そして第二次世界大戦と戦争の時代。敗戦と同時に一変して、長く平和と経済の繁栄を経験するのである。
 今や世の中の中心世代の多くの人々は、戦争を一度も体験しないまま、経済至上主義という枠組みの中で、飛躍的な経済成長と並走して成長してきたと言える。
 戦争体験のあった先輩、上司がまだ身近にいて、良く飲んで、飲まされ、酔うと必ず
「近頃の若いモンは……」と礼儀から始まり、戦争談義に終わる。杯をグッと傾けながら「一度は捨てた命だから…」というセリフは、妙に迫るものがあった。勿論、さほどカラオケもなかったから手拍子による軍歌。このことが、今の自分の人生観にどのような意味合いがあったか、いま問い返されると漠としてるが、しっかりと先輩達の胸を借りてるという思いはあった。
 時代の流れだと言ってしまえばそれまでだが、後輩に胸を出して「ドントこい!」と言
える先輩が少なくなったように思える。また、胸を貸したとして、私たちは自分の言葉で語れる“どんな体験”を持ち合わせているのだろうか?
 経済的豊かさに憧れ、アメリカに追いつき、追い越せと走ってきた時代とは違って、豊かさの中で生れ、育ってきた若い世代には、アメリカン・ドリ-ム的な価値観は全く意味を持たないのである。
 今世紀を代表する経営学者P・F・ドラッカ-は、「21世紀の成長分野は非営利組織である」と予言している。
 ①企業の目的(何のために存在しているのか)②私たちは何のために仕事をしているのか③“働く”ということはどんな意味があるのか。
 組織リ-ダ-であるトップと幹部は、組織の舵取りをどのように考えているのか、進路の方向性をどのように見定めようとしているのか。
 自らに根本から問い直し、自分の言葉で語りかけることが求められている。
 一人ひとりが、次のことを自らに問い掛けて欲しいと思う。
 
  (1)どんな人間になりたいのか
 
  (2)どんな仕事をしたいのか
 
  (3)将来どんな生活をしたいのか