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考える言葉

 

自覚

 
1999年07月26日(月)

 「我が人生に悔いはなし」という言葉があるが、悔いを残さない生き方をすることはそう簡単なことではない。
 しかし、悔いのない人生を送った人達がいることも事実である。以前にも紹介したと思うが、ホンダの創業者・本田宗一郎氏の辞世の言葉は、「人生を楽しませて頂いて有難う!」である。こう言って、自分の人生に幕を引けるなんて最高に素晴らしいことだし、感動的だと思う。「世界一の車をつくること」に自分の人生を賭け、駆け抜けて行ったのだろう。
 仏教に「自覚」という言葉がある。「自らをさとる」と言うことであるが、“自身の迷いを転じて悟りを開くこと”(広辞苑)。
 自覚とは“自分の使命を知ること”あるいは“目的を特定して生きること”と考えても良いのではないか。
 本田宗一郎氏もそうであるが、悔いのない人生を送った多くの人達が他の人と違いがあるとすれば、それは“自覚の差”ではないかと、私は考える。
 21世紀は、変化の時代であり、競争と自己責任が問われる時代である。
 「自己の存在の価値と意味をしっかりと悟り、“自己の主体的価値”を、仕事を通して創造していくこと」が問われる時代である。
 仕事の目的、つまり何のために仕事をしているのかを明確にすべきである。
 企業のトップあるいは幹部は、先ず経営理念(目的・理想)を明らかにすべきである。社員は、会社の理念を十分に理解した上で、その役割を全うするよう行動することが大事である。
 そして、全社一丸となって顧客あるいは地域社会に“自社の取り扱う商品・サービスを通して経営姿勢を売ること”である。
 同業他社との差別化は、“心の持ち方”から生じるものです。そして、自覚とは“自分自身の心の有様”ではないかと考える。
 もう間近に訪れる21世紀は、間違いなく「心の時代」となります。その意味においても、“大いなる自覚”が企業の盛衰を決すると言っても過言ではないと思うのである。
 
“自覚によって生じる主体的価値の創造は、21世紀のマネジメント・テーマ”です。