本文へ移動

考える言葉

 

中小企業よ、目を覚ませ!

 
1999年08月30日(月)

日本経済再生のために、国が考えている戦略の方向性(構造改革のシナリオ)がハッキリしてきた。

 一言でいうと“競争社会”である。優勝劣敗の原理が強く働く競争市場をつくり出すことによって、市場が選別する自然淘汰(適者生存)によってぜい肉をそり落とそうということ。つまり、その変化に適応できない弱者は確実に切り捨てられると考えるべきだ。

 最近、よく“自己責任と自助努力”と言うことが叫ばれるのは、実は、そんな背景からだろう。

 このような国の考え方は、小渕首相の諮問機関である経済戦略会議が2月に発表した「日本経済再生への戦略」と題する答申においても明らかであったが、同機関の中小企業政策審議会が発表した「現行の中小企業基本法を全面的に改正して、創業やベンチャー企業の育成に重点を移すべきだ」(日経・社説8月27日付、参照)という中間答申を見ると、より鮮明となった。

 社説によると、同答申は「中小企業は保護すべき“平均的に弱者”と決めつけるより、多様な可能性と創造性を持った事業主体」と見方を変えているそうだ。

 つまり、横並びではなく、努力している中小企業とそうでない企業を明確に区分した支援体制を確立していこうと言うことである。自らの意思で未来を描けない、あるいは描こうとしない企業は、これからの時代ではいずれ淘汰されても止む得ないということだろう。

 今、中小企業にとって大切なのは、景気の回復を待ってひたすら我慢することでも、大企業を真似てリストラし、単に効率化(コストダウン)を追究することではない。

 大切なのは、過去にとらわれない大胆な発想による“自己革新”である。トップあるいは幹部自らが先ずあらゆるリスクを背負う覚悟が必要だと思う。

「組織の盛衰は、たった一人の優れた人物がいれば足りる」(経営人間学・孫子5)という…・・これは歴史が証明している事実である。

 時代は自分に何を求めているのか、どうすれば自分はその要求に応えることが出来るのか…真剣に考えてみたい。自らの存在の価値を明らかにすべきである。

 そして、この競争社会において中小企業が生き残っていくために最も大切なことは“組織の結束”であると考える。そのためにも、次の二点は経営の急務である。

1)あらゆる情報を開示し、リスクを共有できるかどうか(ディスクロージャー力)

2)あるべき姿を明確にし、未来を共有できるかどうか(プレゼンテーション力)