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考える言葉

 

リストラ

 
1999年09月13日(月)

  リストラとは今更言うまでもないが、リストラクチャーの略語で“再構築“を意味する。日本ではリストラと言えば、“人員削減・人切り”と同意語になってしまっており、暗くて、悲壮感が漂ってくる言葉である。本来の意味から考えると、リストラは企業を取り巻く環境の変化に適応するために、その適応できなくなった旧い体質を根本から見なおし、「企業が抜本的に生まれ変わる」ことであり、将来への夢を大きく膨らませる絶好のチャンスなのだ。

 その意味において言うならば、「百年の大計」という言葉があるが、やはり“長い目で、多面的にそして根本的”思考を常に怠るべきではないと思う。今日のように変化が激しい時代においては、目先の問題にとらわれて枝葉末節的な思考と行動をしていても未来を守ることは出来ないと思う。

 考えるに、この世の中の本質は万物流転、諸行無常という言葉があるように「何一つとして固定の存在はあり得ない」、つまり「常に変化して止まない」という真理である。と言うことは、事業がこの世の中の必要から生まれたものであり、その事業の担い手として企業が存在しているとするならば、“変化に適応できる柔軟性”こそ企業経営の本質だと言えるのではないだろうか。

 つまり、企業はいつの時代においても、その時代の価値観に適応できるような物の考え方が出来るように“自己革新システム”を構築しておくことが、本質的に求められているといえよう。80年代初頭、45歳の若さで巨大企業GEのCEO(最高経営責任者)に就任したジャック・ウェルチ氏は今アメリカで最も尊敬される経営者の一人であるが、氏が当時断行したリストラ(再構築)は今でも語り継がれるほど凄まじいものだったと聞く。

 彼の経営哲学の根底にあるのは、恐らく「変化との戦い(挑戦)」だと考える。彼は常に現実を直視し、企業の未来を守るためには如何にあるべきかを考えている。氏の語録を読んでいると、過去の成功体験や伝統に一切とらわれない、いやむしろそれらを切り捨てないと大変革は出来ないと言う気迫が伝わってくる。“変化”に対するしっかりとした哲学があるからだろう。

「手遅れになる前に、改革する」

「会社をどう変えるかを決めるのにあたって、聖域はない」

 “変革のリーダー”たらんとすれば、つねに一から出直す覚悟がいる。氏から学ぶべきことは多いと思う。それから付け加えておくが、氏が最も熱意を注いで行ったことは“心のリストラ”だったと言うこと。つまり、会社と従業員を生まれ変わらせることに全精力を注いだと言う。

 要するに、自分を見失わないこと。そのためには、常に現在地を見定め、目的を見失わないように生きることである。