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考える言葉

 

ビジネスチャンス

 
1999年09月20日(月)

 これからの時代、どんな業種が成長分野となり得るのだろうか。経営の神様と言われた松下幸之助氏は、市電が走るのをみて「これからは電気の時代だ」と直観し、電気事業への転業を志したと言う。氏の例のごとく、その時代の成功者は時代のトレンド(潮流)を見極める直観というか、洞察力が際立っていると思う。

 『地球白書』で有名なワールドウォッチ研究所所長レスター・R・ブラウン氏は、「化石燃料をベースにした、自動車中心の使い捨て経済は多くの点で地球本来の能力を超えてしまっている」を指摘しつつ、これからの時代は"環境問題は史上最大のビジネスチャンス"だと提案している。

 レスター・ブラウン氏は、将来の世代のチャンスを奪うことなく、今日の世代のニーズを満たせる経済システムを構築するためには地球環境の原則(経済と生態系のバランス)を尊重する経済をつくること、そのためには次の五つの分野において企業は重大な役割を担う必要があると訴えている。

(1)再生可能なエネルギー(風力・太陽・地熱)へ移行すること、
(2)循環型にリサイクル経済の構築、
(3)交通システムの再設計(都市環境対するビジョン)、
(4)食糧危機への提案(食生活・ライフスタイル)、
(5)人口の安定(家族計画・ヘルスケア・教育・老齢社会への適応)

 以上いずれも重たい問題である。しかし私は、環境問題は"日常性の問題"だと考える。だとすれば、国や一部の大企業がやれば済むということではなく、私たち中小企業において関わりを持てる部分あるいは現業につながっている部分を積極的に探し出し、必ず事業化していけるチャンスあると考えてみると意外と関係が出てくるものである。

 私たち会計業界においても、環境問題に取り組んでいるベンチャー企業を支援するためのコンサル業務や環境会計へ特化しようという動きが既に出てきている。要は先ず関心を持つことである。人間は何でも自分の関心の領域に入れ込まない限り、何ら関係性を見出すことが出来ない思考構造になっている。

 今、経済環境は歴史的大転換期にある。現状にしがみついたままで、10年後に勝者として存在し得るだろうか、答えは否であろう。環境問題に限らず、日常の現場の中(あるいは声)に"未来に太いパイプでつながっているテーマ"があるのに気付かないでいるのではないだろうか。

変化に対して果敢にチャレンジして行きたいと思う。