西暦2000年まで9週間を切り、コンピュータの2000年問題(英語では「Y2K」といっている)が深刻な話題となっている。「2000年問題」とは、2000年1月1日に、コンピュータのバグ(欠陥)が世界的パニックを引き起こすという恐怖のことである。
このバグ(欠陥)の原因は、コンピュータをはじめあらゆる機器に埋め込まれているチップ(記憶素子)が刻む日付にある。つまり、チップの中に入れた日付を「二桁年号」にしたために、2000年は「00」となり、コンピュータは「1900年」と考えるか、「判定不能」となってしまうことになる。
この問題については、世界各国官公庁、企業レベルにおいて対策をやってきているが、危機に対する相当の温度差があり、しかも世界中のマシーンの中には500億個のチップが存在するといわれており、99%対応出来たとしても、残りの1%は5億個であり、この1%を事前に見抜くことは出来ないと言われているそうだ。
最近になって急に小渕首相が「万一の備え」を訴え始めたのも、その辺の事情があるのだろう。考えてみると、個人レベルでの対策は殆ど為されていないのが実情ではないかと思う。私たちの生活を支えている社会基盤(インフラ)の殆ど全てがコンピュータによってコントロールされている現実を考えると恐ろしいことである。核ミサイルの誤作動による大惨事など国家レベル問題から日常生活への影響まで様々な指摘がある。
(1)電気・ガス・水道の供給ストップ
(2)鉄道・航空機・船舶など交通手段の安全性
(3)金融パニック(預金がなくなる)
(4)電話・テレビなど不通
米国では2000年問題(Y2K)は“災害”と見なして、家庭での生活必需品の備蓄などを勧めているという。私たちの日常性のあらゆる利便さがコンピュータに依存している今日的状況を考えた場合、コンピュータが引き起こすパニックはまさに“災害時”と見なして対処すべきであると考えるならば解り易い。
しかも、不慮の災害と違ってその日が解っているのである。強かな事業家はこれをビジネスチャンスとして捉え、企画をしているらしいと聞く。すでにビジネス街のホテルは、「2000年問題」に備える企業の予約で一杯らしい。危機管理が出来ていない顧客のために人肌脱いであげる企画はありませんか?
備蓄品等チェックリストを作成してみると“良いアイデア”浮かぶのでは……と思う。
「備えあれば憂えなし!」である。
これからの企業は、顧客そのものも大切な経営資源の一部として組織の中に取り込んで、時代が求めている環境を創造して行けるような、主体的価値を発揮していくことが求められよう。
要するに、自分を見失わないこと。そのためには、常に現在地を見定め、目的を見失わないように生きることである。
1999年11月01日(月)