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考える言葉

 

21世紀日本の構想

 
2000年01月24日(月)

 1月19日付けの新聞に載っていたので、ご存知の方も多いと思うが、小渕首相の委嘱による有識者懇談会(座長・河合隼雄先生)が取りまとめた「21世紀日本の構想」という報告書が提出された。この提出書の表題に「日本のフロンティアは日本の中にある」という大変力強い言葉があった。

サブタイトルに“自立と協治で築く新世紀”と書かれているように、一言でいうと“自立”の必要性を言っていると思えるが、戦後50年以上の間、アメリカに追いつけ追い越せ、日本のあるべき姿の目標はアメリカにあるというキャッチアップ的な手法ではもう生き延びてはいけないと言うことであろう。

 これからは、個人個人がそして個々の企業が自分の頭でしっかりと考えて、「主体的に、自主的に自らの価値を創造していく気概」を持ち得るかどうか、自らの未来を切り開いていくためには、このことが如何に大切であるかを示唆しているのではないだろうか。

 私たちは今、歴史的に見ても稀有な“大きな、激しい変化の時代”に遭遇していることは疑うことができない事実であろう。この変化を心ときめく喜びと感じ、千載一遇のチャンスと心ひそかに生きぬこうとしているかどうかはかなりの個人差があろうと思える。まさに、その人の考え方次第であるし、“心一つの置きどころ”であると思う。

 「業界のフロンティアは業界の中にある」、「自社のフロンティアは自社の中にある」と読み替えてみたい。この変化が自分にとって“成長あるいは衰退のシナリオ”いずれになるかは、自分の中にあるのであって、決して外部要因ではないと私は考えたい。過去において身につけてきた古い価値観を打ち破り、自らが生まれ変わる“自己革新”こそ、今私たち一人ひとりに問われている唯一の課題ではないだろうか。

 人材教育のあり方が問われている。今までの知識偏重の能力主義的な方法では、この乱世を乗り切る智慧と勇気は決して生まれてはこない。人生の目的をしっかり考える事ができる価値観(思想)の教育こそ急務ではないかと私は考える。

 私たち経営者は、この視点において“企業教育”の在り方を問い直すことが必要ではなかろうか。そのためにも、自らが“価値観教育”の価値に目覚めたいと思う。