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考える言葉

 

人との出逢い

 
2000年02月14日(月)

 人間は“人との出逢い”によって、自らが図り知ることが出来ない大きな影響を受けつつ、実は生きている。「人の運命は“人との出逢い”よって大きく変わる」とよく言われている。確かに運命的な出逢いが織り成す様々な人生模様について、事例に事欠かない。
 
 人間は元来、人と人との関わりの中でしか生きていけない、人生の価値を見出すことができない動物である。にもかかわらず、私たちは“人との出逢い”の重要性をあまり強く認識しないで、あるいは気付かないまま生きているのではないか。
 今、価値観の転換(パラダイムシフト)が盛んに叫ばれているが、この価値観と出逢いとの関係を考えてみたい。価値観(パラダイム)とは“思考の枠組み”のことである。人間は誰もが何かを信じて生きているのであるが、その価値基準となっている物差しと考えても良い。
 そして、自分が身に付けている“物差し(価値観)”が正しいと信じて、世の中のあらゆることを観て判断し、行動をしている。しかし、自分の物差しが何故正しいと信じられるのか、その根拠は何なのかそしてその物差しはいつ、どのようにして身に付けたものなのかと、改めて問われるとうまく説明できないのである。
 何故だろうか。それは、自分が身に付けている物差し(価値観)は“人との出逢い”よって身に付けたものだからである。そして、人生はその人の価値観(物の見方・考え方)によって如何様にも変わる。この様に考えると、“人との出逢い”が人生にとって如何に大切であるかの意味が見えて来よう。
 人それぞれの価値観があるように、時代にはその時代の価値観がある。時代遅れの価値観になっていないか常に検証する必要があろう。私は、成長とは自己の身につけている価値観を革新していくことだと考えている。そのためにも“人との出逢い”を大切にしたいし、どんな出逢いであろうと、それが自分に教えてくれるものを素直に学び取りたいと考える。
 ヘーゲルは「人間は価値ある目的を持ったその時から、その人の人生のあらゆる出逢いが価値あるものになっていくのである」と述べている。
 大変示唆に富んだ言葉である。