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考える言葉

 

ナンバー2

 
2000年08月28日(月)

「組織の盛衰はトップの器によって決まる」とよく言われているが、そのトップを支えるナンバー2の存在を無視しては語れないと思う。
ホンダの例を出すまでもなく、確かにトップとナンバー2との関係性の絆の強さが組織を大きくした事例として、語られることが多い。しかし、トップがその人材を得ることは決して容易なことではない。
ナンバー2の役割として、よく名補佐役とか名参謀などの呼び方をされるが、その資質について明確に定義しておく必要があろう。
経営の神様と云われた松下幸之助は、組織のトップに最も必要な資質について、「組織を良くしたいという誰にも負けない熱意だ」としている。
このような視点から、ナンバー2について考えてみると次のように云えるのではないか。
“ナンバー2とは、その組織の中で誰にも負けない熱意と信念を持って、そのトップを支え、補うことができる人である”
組織におけるトップの役割は、本来多岐にわたり、複雑。熱意なくして、その重責は負えない。そのトップを支えるナンバー2においても然りである。能力的側面を超えた関係性をトップと持ち得ていないと、すぐに馬脚を現すこととなろう。
本田宗一郎が彼の名補佐役であった藤沢武夫との関係について次のように語っている。
『(彼と出逢った)最初の1年間は二人で暇さえあれば“理想”を話し合っていたね。「この会社を将来こうしよう」なんて。それが本当に楽しかった。』
私はこの言葉に確かなヒントを得たような気がする。
それは、“理想の共有”が熱意と信念を生み出し、ゆるぎない良好な関係性を構築していくのではないか。
私たちは、いつしか日々の仕事に追われ、えたいの知れない焦りにとらわれてしまう。将来のあるべき姿(理想)を見失ってしまってはいないだろうか。
私たち人間は、理想を語り合い、その理想の実現に向けて行動をしているとき、お互いに“私心がない状態”に在るという。(経営人間学講座)
「お客様に喜んでもらいたい」「会社を良くしたい」「上司のために尽くしたい」「社員を大切にしたい」など、そんな熱意や信念はそのような状態から生まれてくるものではないかと、私は考える。
ナンバー2を欲するならば、トップは普段からもっと理想を多く語るべきである。