本文へ移動

考える言葉

 

上司を管理する

 
2000年08月14日(月)

“管理”について、大変興味深い話を聞いたのでご紹介したい。
「組織内管理者にとって部下の管理も大切であるが、実はもっと大切な管理がある。それは、上司の管理である」(経営人間学講座)
確かに管理と言えば、部下の仕事振りや仕事の内容についての責任をとやかく言うのが普通である。「上司を管理する」というと逆転の発想のように思えるが、“管理”の定義を次のように考えると、極めて意義深く、納得できる話である。
「自分の日常業務と関わりのある全ての人物とそれぞれの仕事の内容に対して、自分が関心を持ち、可能な限りその相手との関係に深い内容を自分が積極的に作り上げていくこと」(経営人間学講座)
つまり、管理の本質は、良い仕事(=付加価値を創造すること)をするために、その仕事に関わるあらゆる“関係性”を正しく構築することにあるといえよう。
よく考えてみると、組織における仕事とは、上司から分け与えられたものであり、自分の仕事に最も影響を及ぼすのは直属の上司であることは疑う余地もないことである。このことは、上司の意向を理解しないで、良い仕事が出来る筈がないことを意味している。
上司が今、何を考え、何に頭を悩ませているのか、自分に何を期待しているのか、上司の抱えている仕事で自分に出来ることはないのかと…・。組織内管理者にとって、自分の仕事を始める前に、このように考える時間(つまり、上司の仕事を管理する時間)を持つことは、極めて重要なことではないだろうか。
このような人には成長著しい人が多いというが、分るような気がする。何故ならば、上司の立場に立って、物事を考え、仕事をしようとしている訳だから、自ずと大局観が養われる。何よりも、リスクを買って出ようという気概に溢れているではないか。ましてや、そんな部下を放って置くような上司が居るはずがない。
確かに、こんなNo.2がいる企業は活力がある。トップの苦労を買って出るNo.2。そして、No.2の苦労を買って出るその直属の部下……。順繰り、順繰りに、チャレンジ性のある仕事に関わっていこうとする図式が、組織の中に生まれる。
そんな企業が成長しない筈がない。仕事を通して人間は大きく成長していくのである。
仕事に限らず、人間はあらゆる関係性の中で生きている。今の自分にとって、誰とどのように関係性を深めることが大切なのか。そして、将来に向かってあらゆる関係性をどのように広げて行けば良いのか、よくよく考えることは極めて重要なことであるといえよう。