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考える言葉

 

未来を創る

 
2000年10月10日(火)

今、多くの経営者が経営的判断の困難さに苦悩している。未だかって、経験したことがない環境の変化とそのスピードが、経営の舵取りを困難にしているからだろう。

いつの時代においても、「組織の盛衰はトップの力量によって決まる」とよく言われてはいるが、これだけはっきりと明暗を分けられると辛いところがある。夜もオチオチ眠れないとなると、戦国大名さながらの心境である。
 今や乱世の時代、競争の激化は必然。しかも優勝劣敗(優れた者が必ず勝ち、劣った者が必ず負ける)の原理が強く働く時代でもある。(経営人間学講座)

 腹を据えて、つまり覚悟を決めて現実を受け入れ、それぞれの未来を自らの力で切り開いていくしかないのではないかと痛感する。
 アル・リースは「企業経営陣のもっとも重要な任務は、未来を発見することである。未来一般ではなく、いま経営しているこの企業固有の未来である。フォーカスとは、ある意味で未来である。フォーカスとは、どこに未来があるかを知らせ、その未来を実現するための具体的行動を起こさせるからだ」と述べている。

 私も、全く同感である。今日ほど、経営者にとって自社の未来を発見あるいは創造する資質を問われる時代は、少なかったように思える。過去の延長線上に未来が存在した時代が長く続いたせいだろう。
 もう過去のやり方では通用しない。トップは、急ぎ「自社の進路の方向性を見定め、フォーカスすること」である。そのための最も有効な手段として、私は“経営計画作成の重要性”を改めて、経営者の方々に強く訴えたいと思う。

 そして、実践効果のある経営計画のあり方として、次の3条件を提案したい。

(1) 作成のプロセスは、思考のプロセスであり、行動の原点であること
   現状の経営資源を徹底して見なおし、未来に繋がるあらゆる関係性を自分の頭でしっかりと考え、行動の原点となすこと。

(2) 正しい経営をしているかどうかの“基準”となり得ること
   作成した経営計画を正しい経営をしているかどうかの判断基準として経営陣において共有し合えること。

(3) フォローアップ体制の充実
   実践のプロセスにおいて、予実管理(差異の原因分析)の徹底や必要な情報の収集と共有化を図り、“その気”を継続させるようなフォローアップ体制を充実させること。

  “業績の悪化は環境のせいではない。自らの決断の拙さにある”と考える。