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考える言葉

 

アイデンティティ

 
2021年11月15日(月)

 “アイデンティティ”(identity)は、「同一性」「一致」のことをいう。
 もう少し詳しく言うと、「自己同一性」「個性」「国・民族・組織などある特定集団への帰属意識」「特定のある人・ものであること」などの意味で用いられる。
 もう随分前になるが、ビジネスの世界では、コーポレート・アイデンティティー(CI)という言葉が流行り、社名、ロゴタイプ、広告のキャッチフレーズとして解釈され、使われることがあった。
 本来、CIとは企業イメージの統一であり、企業における理念体系(企業の理念・使命・価値・行動指針)をいう。
 そして、その役割と目的は次の3点にある。
 ① 独自性を高め、競合他社との差別化を図る
 ② 理念や方針を共有し、方向性を明確にすることによって企業活動の質を高める
 ③ 自社の存在価値を明確にして顧客や社会とよりよいコミュニケーションを図る
 つまり、その本質は企業文化を高め、顧客をはじめとする社会との関係性を高めるところに重要な目的があると言えよう。
 もちろん、企業に限ったことではない。個人においても、自らの“アイデンティティ”を正しく認識することによって、独自性や存在価値を高めることができる。つまり、世の中の環境がどんなに移り変わろうと、「私は私である」ことを保証するのが“アイデンティティ”なのである。
 IGグループの経営理念の中に、「われわれ相互の主体的価値を尊重し、互いに切磋琢磨する」とある。これはまさに、一人ひとりが自己の“アイデンティティ”を確立することによって、互いの持ち味を生かし合う組織文化が生まれることを期待しているのである。
 次のような質問を投げかけられたときに、ちゃんと答えられるだろうか。
 ① 自分たちは何者か?
 ② 自分たちはどんな立場に置かれているのか?
 ③ どこが他と違うのか?
 ④ 自分たちにふさわしい場所はどこか?
 「アイデンティティ・クライシス(自己喪失)の時代である」という言葉を耳にすることがある。時代環境がどんなに激変しようとも、「私は私である」という自覚を持たないと他人も正しく評価できなくなるだろう・・・。個人も組織も、そして国としても自らの“アイデンティティ”を常に問い正す必要があると思う。
 
                   ”考える言葉”シリーズ(21‐45