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考える言葉

 

過去の成功体験

 
2000年12月25日(月)

 人間は往々にして自らの過去の体験に左右される。ましてや、それが“成功体験”であれば捨て難いのは当然である。

しかしながら、変化を常態としている今日的状況において、私たちが過去の成功体験を基にその考えを定め、決定を行ってしまうことは、極めて危険なことではないかと考える。
 私たちがこの10年経験した環境の変化は、あらゆる神話の崩壊でも分るように、これまで自明の理とされてきたことの殆どが、もはや現実を反映していないことを示している。

 永年かけてコツコツと積み上げてきた実績が何の意味も為さない、否それを捨てないと生き延びるチャンスさえ取り逃がしてしまう、それが現実なのだ。    

 しかし、多くの人の認識は未だそこまでの厳しさはない。自らが変わることよりも、環境が自分にとって都合が良いように変わるのをじっと待っているかの様な気がする。

 もう、ハッキリしよう。歴史は新たな、未知なるページを開いてしまったのである。後戻りすることはできないし、あり得ないのである。
今、私たちに求められていることは唯一つ、自らが生まれ変わること、即ち“自己革新”であり、それをやり続けることである。

 そのためには、仕事の定義の見直しから始めなければならないだろう。
「変化は、何を求めているのか」「変化は、どのような機会を与えてくれるのか」「その変化に適応するためには、自分はどうあるべきなのか」などと、自らに問い、考え尽くすことである。

 そして、使命と貢献に照準を合わせ、為すべきことを明確にすべきである。さらに、為すべきことを成し遂げるには如何なる責任を担うべきなのかを考え、覚悟を決めることである。
大切なことは、これからの時代は未来を予測しようと思ってならない。未来は自らの手で創るものなのである。

 それ故に、私たちは自らの過去の成功体験を捨てるというリスクを敢えて行うことが必要となろう。
私たちが過去において経験した環境条件は、今後の未来において決して再現されることを期待してはならないと思う。奇跡は二度と起こらないのである。

 自らの成長を望むのであれば、変化への挑戦こそ、自らのモチベーションと考えるべきであろう。