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考える言葉

 

致命傷

 
2001年03月05日(月)

 いろいろな不祥事も重なり、支持率が1ケタ台に落ち込んでいるのに潰れない森内閣(もうさすがに寿命は尽きたのでは、と思うが…)。

 生まれ変われない、あらゆる日本の象徴ともいえよう。このまま問題を先送りして行けば、未来がどんな事態に陥るのか、勿論分っているはずなのに、誰もが身動きできないでいる。
 戦後の日本は、余りにも上手く行きすぎた。その過去の成功体験が災いしているのだろうか。それも要因の一つかもしれない。

 しかし、私は日本が変革できない大きな要因を一つ挙げるとすれば、“リーダー不在”が原因していると言えるのではないだろうか。
 偏差値教育の申し子、“治世の能吏”はごろごろいるが、“乱世をリードする人材”が育っていない。
既存のシステムを上手く機能させ続けるための管理能力が優れた人材はいても、創造的破壊を断行し、大変革を成し遂げるリーダーが不足している。

 リーダーの最も重要な役割は、「正しく進路の方向性を指し示すこと」である。それは、目的を特定し、ヴィジョンを明確にすることである。そして、その実現の向けて一人ひとりを動機づけることである。
 リーダーの資質は、共感・共鳴される目的を熱く語れるかどうかである。
 しかしながら、「人生、何のために生きているのか」「仕事は何のためにしているのか」を自分の言葉で語れる人は少ない。

 時代が大きく動いているのに、日本の国が構造変革できないのも、企業がイノベーションできないのも、私たち一人ひとりが自己革新できないのも、原因はハッキリしているのである。
 それは、「目的を見失ってしまい、未来のあるべき姿が描けない」からである。先行き不安感の中で、行き詰まっている。このままでは、致命傷に成りかねない。

 現状打開の最良策は一つ。一人ひとりがリーダーを演じることである。「現状を少しでも良い方向へ変えたい」と考え、働きかけることから始めよう。
 「リーダーシップを発揮すること」は、「管理をすること」と違って、地位などに関係ないことである。各人の自発性・主体性から生まれるものであり、私心なき目的の内容によって強化されるものである。つまり、共感・共鳴を呼び、付き従う者のエネルギーを呼び起こす。

 致命傷になる前に、勇気を持ってリーダーとしての自覚の一歩を踏出して欲しい。